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【直下型地震】札幌 大地震への備えは?

石川県や熊本県で震度5弱以上の揺れを観測する強い地震が相次ぎました。
防災や減災について考える特集「命を守る」。きょうは『札幌の直下型地震』です。
人口およそ200万人の大都市・札幌には大地震のリスクがどのくらいあるのでしょうか。

4年前、北海道に深刻な被害を与えた胆振東部地震。
内陸を震源とするこの地震は道内で史上初の震度7という激しい揺れをもたらしました。
札幌市でも東区では震度6弱を観測。一部の道路が陥没したほか、清田区では地中から水が噴き出し大量の土砂が流出する液状化現象が発生。生活に大きな影響が出ました。

この地震は海底のプレートではなく内陸の地下で発生したいわゆる直下型地震でした。この胆振東部地震に匹敵する強い揺れが再び札幌市を襲う可能性が指摘されています。
これまでの研究でどんなことがわかっているのでしょうか。北海道大学の高橋浩晃教授に聞きました。

(北大地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授)「札幌市の直下には東から野幌断層、月寒断層、そして西側には西札幌断層という3本の活断層があることが知られています」

札幌市内や周辺に野幌、月寒、西札幌という3つの断層が存在していることがわかります。
2010年の冬、月寒断層が引き起こしたとされる地震が実際ありました。最大震度は3でしたが小学校の窓ガラスが40枚以上割れるなど大きな爪痕を残しました。最新の想定ではどれほどの揺れが来る可能性があるのでしょうか。

(高橋教授)「まさに直下型ということで、震度7になるような非常に強い揺れが札幌市を襲うということが危惧されています」

最大で震度7の地震が札幌市内で発生する可能性があり、特に揺れが大きくなりやすい地域があるといいます。

(高橋教授)「札幌市の北側はいわゆる泥炭地ということで非常に地盤が柔らかい。やわらかい地盤だと揺れが大きくなってしまう」

胆振東部地震では市内のほとんどの区では震度5強か5弱でしたが東区だけ6弱という記録的な揺れとなりました。震度7の直下型地震というと、どれほどの揺れになるのでしょうか。
地震や暴風など様々な災害を体験できる施設を訪ねました。

(宮永キャスター)「ではこちらのシミュレーターで札幌直下型震度7の揺れを体験します。ではお願いいたします。緊急地震速報が鳴りました。強い揺れに…ああ!揺れ始めました。かなり小刻みに…おっと突き上げるような揺れです。真っ暗になりました。断続的にガタガタと強い揺れですね。これはもう、何かにつかまっていないと恐怖を感じるような揺れです。結構長いですね」

その後も収まったかと思うとまた強い揺れが来て、揺れは想定に従って結局1分以上続きました。

(宮永キャスター)「直下型の地震ということで、小刻みな縦の揺れがかなり長い時間続きました。ゆれている間はほとんど動けませんでした。揺れが収まってからどう行動するのかが大切ですね」

(札幌市民防災センター 野村政司センター長)「やはり動けないということが体験していただいてわかったかと思います。実際に自分で体験していただくというのが万が一のときにご自身の身を守ることにつながると思います」

★スタジオ)
改めて、札幌の地下に潜む3つの活断層について確認します。
東から順に野幌、月寒、西札幌断層と並んでいて、200万の人口を抱える大都市の真下に存在していると
いうことなんですね。
断層で動きがった場合、最も大きな被害を与えるとされるのが住民の多い地域にまたがる「月寒断層」です。
ここで地震が起きたとすると、最大およそ4900人が死亡するという想定が発表されています。
凍死のリスクがあるため、冬に発生した場合、夏の13倍の死者が出るなど、より甚大な被害になると言われています。

こうした大地震のリスクに私たちはどう備えたらよいのでしょうか?
家庭でとっている地震への備えについて、マチの人に聞いてみました。

(札幌市民)「自宅では家具とか倒れないように地震対策している」
「水は2リットルのペットボトルは段ボールで6本くらいあって、缶詰も常備しています」

市民がそれぞれの方法で災害への備えを進めていることがわかりました。
高橋教授は、人口が多い札幌では特に家庭での備えが重要だと指摘します。

(北大地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授)「札幌市は人口200万人いるということで、大多数の方は自宅での避難、その人数が非常に多くなると思いますので地震に限らず水害などでも自宅である程度しのげるような準備をぜひお願いしたい」

大都市ならではの事情がありました。札幌市も備蓄の拡充を進めています。
白石区にある倉庫を訪ねました。
  
(宮永キャスター)「うわーかなり広いですね」

この施設の広さはおよそ1000平方メートル。学校の体育館ほどの広さに所せましと段ボールが積まれてます。
備蓄されていたのはやわらかくて誰でも食べやすいおでんの缶詰や、真空パックに詰めることで10年間保存できるようにした生理用品など避難生活がより快適になる日用品や食料でした。

(札幌市危機管理課 山口凌さん)「こちらは札幌式高規格寝袋といって、冬場での災害対策として備蓄している寝袋となります。断熱材とクッション材が一体になっていて、保温性を高めた素材を使用しています」

被害がより深刻となる厳しい冬の災害に対する備えにも力を入れていました。

(札幌市危機管理課 山口凌さん)「おうちが安全でしたらご自宅で滞在されるのが一番良いかと思います。ただし、命の危険を感じた場合などは速やかに近くの避難所まで来てもらいたい」


★スタジオ)
札幌市は去年8月、最新の被害想定を発表しました。札幌市で災害が起きた場合、避難者や帰宅困難者などあわせると、およそ10万8千人分の食糧が必要になるとされています。
市は、これらの人数の2日間・6食分の食糧を確保したい考えで、来年度末までにすべての量を整備する方針ですが、やはり大切なのは家庭での備えになります。

そして一番重要なのは、自分の住んでいる地域にどんなリスクが潜んでいるのか知ることです。
札幌市が発行している防災に関する冊子などをよく確認して、日頃から災害に備えていきましょう。

(2022年6月30日放送) 
「どさんこワイド179」  9/8(金)11:39更新

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