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「前日は、変わったことをしないで。」  北本 隆雄

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秋の夜長です。たまった作業を終わらせようと21時くらいに家の近くのコーヒーショップに行くと、私の席の近くに受験生らしき女の子が座っていました。

顔はほぼ直角に机上を向き、まさに参考書に「かじりついている」感じでした。ノートに文字を書く音は「カリカリカリ」というよりも「ガリッガリッガリッ」といったところ。

「これだけ勉強していたら、きっと大丈夫だよ」と声をかけてあげたい気持ちになりましたが、いやいや、そうではなかったと、ハッと我に返りました。

私が高校受験をした時の話です。試験前日の夜ご飯、母に「どうか、エビチリを作ってほしい」と頼みました。高級なイメージがあるエビのチリソースは、なかなか食べることができない“特別”な感じがしたからです。出てきたのはトロトロのあんがかかったエビチリ。箸がとまらず、15尾近く食べた記憶があります。

そのあとも「そうだ!試験前なんだから、めいっぱいリラックスしよう」と、普段は10分くらいしか入らないお風呂に1時間30分ほど浸かっていました。

おいしいものを、少し苦しいくらいおなか一杯に食べ、お風呂ですっかり温まった私はどこかの国の王様になったような気分になりました。受験前夜の中学生とは思えないほど、とろけるような表情でふとんに入ったはずです。「腹八分に医者いらず」と言いますが、逆に日常とかけ離れた量のエビチリを食べ、いつもの何倍もの時間、湯船に浸かっていた私の体は確実におかしくなっていきました。

翌朝、寒気と吐き気で目が覚めました。鏡を見ると、真っ青な顔をした私が立っていました。なんとかたどり着いた試験会場でも、いすに座り鉛筆を持っているのがやっと。言うまでもありませんが、試験の結果は「不合格」でした。

この日、自分が大きなイベント前に調子に乗りやすい性格だと悟った私は、勝負の前日は「いつもと違うことは絶対にしない」ということを胸に誓って生きています。

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