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海とともに、生きるまち。  北本 隆雄

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宮城県南三陸町は、海がキラキラと眩しい朝でした。訪れるたび透き通った青空が迎えてくれます。

会いたい人がいました。ひとりは私が学生時代、震災の経験を泣きながら語ってくれた女性です。津波で家がなくなり、目の前で知り合いが流されました。「経験を伝えることで、未来の誰かの命を助けたい。」この言葉が印象的で、今の私の原動力にもなっています。2021年、その方はずっと元気になり、パワーに満ち溢れていました。「この10年、多くの人が南三陸にきてくれた。その人たちが、私が知らなかったこの街の“魅力”をたくさん教えてくれる。」力を込めてそう話す姿に、嬉しくなりました。一方で、今日までに乗り越えたものの大きさは、私の想像しうるものではないのだとも思いました。

会いたかったもうひとり。今回南三陸を訪ねる前、日程を調整しているなかで連絡を取るようになった男性です。もともとこの街にゆかりはなく震災当時は関西にいたそうです。”津波に巻き込まれ行方不明になった町長が、生還し陣頭指揮をとっている” そのことをニュースで知り興味を持ちます。調べたり、何度も通ったりするうちに「街の人も自然も、全部が”魅力”に思え」移住を決めました。今は、復旧へ急ピッチで姿を変える街の様子をカメラで記録し続けています。「町は壊滅的な被害を受けた。しかしこの街で生きる人は強く、街はいまも尚美しい。」

2人が言うこの街の“魅力”。街の人を元気づける“魅力”。人生を大きく変えてしまうほどの“魅力”。そのわずか一部しか、私はまだ知りません。でも、そこらじゅうを飛び回る大きな鳥の鳴き声を聞きながら、穏やかな海からの風を浴び、街から離れるときに「また来たい」と思います。

先週行われた追悼式で、津波に飲まれ生還した佐藤仁(じん)町長がこう言いました。「今は、災害後ではない。災害と次の災害の間を、私たちは生きている。」自然に囲まれ、自然から大きな被害を受け、また自然とともに生きていく。この街から、私は学び続けたいです。

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