アナウンサー

アナウンサーブログ

Announcer Blog

感謝の気持ちです。  永井 公彦

顔写真
永井 公彦 プロフィールへ
函館の行きつけは、お寿司さんでも郷土料理店でもなく、市電の「中央病院前」電停にほど近い餃子の店。通ってもう20年以上になります。
メニューは、少々のおつまみを除けば、ほぼ「餃子のみ」。
ですからお店に入ると「生ビールと4人前、焼いて」という注文になります。
「ニンニクを使っていない」という餃子は、ひとくちサイズであっさりしていて、一晩で30個くらい食べたこともありました。
近所の病院で働く皆さんにもファンが多く、カウンター席で常連さんとご一緒させていただいたことも数多くあります。
このカウンター席では、餃子が焼けるのを待つ間、店主の劉清楽さんと話すのが楽しみのひとつ。もともと中華の料理人だった劉さんは神戸の出身、昭和の頃からのプロ野球ファンで、札幌ドームに観戦に来られた際、当時のヒルマン監督と撮った写真を宝物のようにお店に飾っています。
カウンター越し、ナイター中継を見ながらの劉さんの優しさとユーモア溢れるトークは、ビールと餃子をより一層おいしくさせてくれました。

そんな劉さんの訃報と、お店「源豊洋行」閉店の知らせが届いたのは、年明け早々のこと。
年末まではお店も開けて、頑張っておられたというのに、あまりに突然のことに、すぐには信じることができませんでした。
劉さんの奥様と連絡が取れたのは、つい先日。
年明けにひっそりと葬儀を執り行い、少しづつ前に進もうと、お店の片づけをしていても「うちの餃子を紹介していただいた新聞や放送、雑誌の記事をひとつひとつ見ていたら、色んなことがもう懐かしくて、ちっとも片づけが進まないんです・・」と奥様。
そういえば、「料理人」としての心意気を、劉さんに伺ったことがありました。
いつもの饒舌さは無く、少々照れながら、こんな話しをされていたのを覚えています。
「よく、おいしさの秘訣は?って聞かれるけど、特別なもんは何もない。高い材料使っておいしくすることなんて他にやっている人がたくさんいる。どこにでもある普通の材料を使って、家でできない味を出すのがプロの料理人よ」。
「餃子」という庶民の味に込めたそのプライドに、多くの人たちが舌鼓を打っていたのだと思います。
この餃子に魅せられ、札幌まで取り寄せ、販売していた「フーズバラエティすぎはら」の佐藤さんによれば、年末、最後に仕入れた分は、年明けあっという間に完売したそう。
あの餃子をもう食べられないと思うと、寂しい・・そう思う人は、今、私以外にもたくさんいることを確信しました。
おいしい食べ物は、きっと記憶に残り、人を繋いでいくはずです。
劉さん、ありがとうございました。

永井 公彦のバックナンバー

読み込み中…