漁師は「収入ゼロ」休漁続くスルメイカ 観光地や加工業者も“死活問題” 函館市長が漁獲枠拡大要請
漁獲可能な量を超えたため自主休漁が続く小型船のスルメイカ漁について、水産庁は停止命令を出すことを決めました。
地元の漁師などは「死活問題」などとして漁の早期再開を求めています。
(東海林記者)「函館朝市です。普段であれば店の前の水槽にいるイカですが、きょうその姿はありません」
函館朝市には、店先で「イカの入荷がない」ことを知らせる案内があちらこちらに貼られていました。
(観光客)「カニとイカを食べようと思って。カニは食べたんですけど…」
(記者)「イカは?」
(観光客)「手に入らないと言われました。残念ですね」
(記者)「どこにもイカがいない」
(観光客)「最悪。そうなんですね。残念」
水産庁によりますと、小型イカ釣り漁船のスルメイカ漁獲量は、10月15日現在5388トンと、2025年の漁獲可能量4900トンを超えました。
北海道では10月22日から自主休漁の措置が取られています。
漁獲可能量は資源保護などの観点から毎年水産庁が決めています。
函館では近年スルメイカの水揚げが激減しましたが、2025年はまとまった量がとれ始めていたといいます。
こうした中での休漁から1週間あまり。
漁港には30日も準備をする漁師の姿がありました。
(漁師)「飯食えない。収入ゼロだから。ただゴロゴロしているだけでは具合悪くなる。先行き見えないもん」
函館市内の塩辛の加工業者です。
地元でとれたイカにこだわり、木樽仕込みで塩辛をつくってきました。
イカの入荷が止まったいま、先行きを不安視しています。
(小田島水産食品 小田島隆社長)「一番使うのはやはり加工屋さん。原料がないということになれば死活問題になる」
水産庁は31日に採捕停止命令の発出を決め、11月から2026年3月まで続く見通しです。
こうした中、函館市の大泉市長らは小型イカ釣り漁船の休漁措置に対する要望書を水産庁長官に手渡しました。
(函館市 大泉潤市長)「地域としては死活問題なので、様々な手立てを講じて対応をお願いしたい」
(函館市漁業協同組合 瀧川久市組合長)「一刻も早く漁を再開させていただきたい。12月中頃には船を出せない状態になる。ここから1か月半、これからが勝負というときに停止がかかった」
(水産庁 藤田仁司長官)「もともと留保枠を持っているので、それをどれくらい融通できるのかが1つ、採捕停止命令が解除できるのかはいまの段階で申し上げられる状況にない」
道は、海に面している12の振興局に相談窓口を設置し、漁業関係者や水産加工業者から話を聞くなどして休漁による影響の把握を急いでいます。