新たな名物に!養殖サーモンに期待 グルメが続々登場 天然資源の漁獲量減少で開発進む 北海道
漁業不振が続く中、新たな収入源としていま注目されているのが「養殖のサーモン」です。
北海道内では函館や浦河で初めて水揚げされ、早速、養殖サーモンを使ったグルメの開発が進んでいます。
脂がのったサーモンの刺身に、焼き目のついた塩焼き。
弁当に使われているサーモンは、すべて道産の「養殖キングサーモン」なんです。
このキングサーモンが養殖されているのは函館漁港です。
6月30日、およそ100匹が水揚げされました。
函館市と北海道大学が2022年に人工授精させた完全養殖のキングサーモンです。
道内各地では今、サーモンの養殖が広がっていて、その背景にあるのが天然資源の漁獲量の減少です。
函館では2025年、スルメイカ漁が解禁された際に水揚げされたのはわずか数匹で、初水揚げの競りは初めて中止に。
取扱量は年々減少していて、10年前に比べると10分の1近くまで減っています。
こうした中、新たな函館名物にしようと研究が進められてきたのが、キングサーモンの養殖だったのです。
その味はというと?
(東海林記者)「ほどよく脂がのっています。ただ、くどさはなく非常にさっぱりしたサーモンです」
天然のキングサーモンと引けを取らない味に仕上がったようです。
(大泉函館市長)「新しいブランドの誕生だった。本当においしかった。水産業も持続可能で発展していくとともに進化していく、あるべき姿」
こうした取り組みは日高地方の浦河町でも広がっています。
2024年11月に浦河港のいけすに放たれたトラウトサーモンの稚魚が育ち、7月1日、初めて水揚げされました。
その数1800匹です。
中には体長59センチ・重さ4キロを超えるものも。
(浦河役場産業課 岩城国松係長)「水温が高くなった5月6月で急に大きくなって、特大の3キロ以上のサイズも何匹か見えたので、初年度としてはかなりいい結果になったのではないか」
浦河町でも海水温の上昇や海流などの影響で、漁獲量はおよそ5年で半分以下に減少。
こうした中、天然資源だけに頼らず、漁業者の収入源を増やそうと始まったのが、トラウトサーモンの養殖です。
新たな水産資源に期待を寄せるのは、漁業者だけではありません。
地元の人気のレストランでは早速、水揚げされたトラウトサーモンを使ったメニューの開発が行われていました。
出来上がったのは…
トラウトサーモンを使ったピザとカルパッチョです。
(Trattoria Eyam 小野里允宏代表)「臭みなく鮮度が良いせいか味がおいしい。使えるんじゃないかなこれは。おいしい。実用化されればぜひ検討させていただきたい。(懸念するのは)どういう物流になるのか、価格と」
浦河町などは事業化にむけ、安定的な供給ができるかなど研究を進めていくということです。
道内各地で進む、サーモンの養殖。
未来の食卓を支える新たな北海道名物になるのか期待がかかっています。