心臓貫いても走るクマ 警察官による駆除検討も課題残る 緊急銃猟対応したハンターが指摘 北海道
相次ぐクマの出没を受けて、警察官によるライフル銃を使用したクマ駆除が検討されています。
刻々と変化するクマ対策に何を思うのか、最前線のハンターが語りました。
(ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長)「だいたいこのあたり。ここから山の中腹くらいに。体半分くらい(見えた)クマでした」
ハンター歴36年。
ヒグマ防除隊の隊長・玉木康雄さんです。
10月、この場所で発砲し、クマを駆除しました。
(山本記者)「子グマが2頭います」
クマの出没が相次いだ札幌市西区の西野地区です。
住宅街すぐ近くの公園に玉木さんは出動。
そしてー
道内初となる、緊急銃猟による発砲でクマを駆除しました。
(ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長)「緊急銃猟というのは、撃たなきゃならない以上、確実にやらないと。ほとんどのクマがバイタル(心臓)に当たれば走る。なぜ心臓を貫いたのにあんなに全力疾走できるんだろうというくらい走る」
そのため、ヒグマ防除隊が狙いを定めるのは頭で、その急所はわずか直径10センチ程度だといいます。
(ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長)「ほんとこれぐらいのサイズ。子グマだともっと小さい」
高いスキルが求められる住宅付近のクマ駆除ですが、警察庁では新たな動きがー
(警察庁 楠芳伸長官)「現在、警察庁では警察官によるライフル銃を使用したクマの駆除について必要な検討、準備等を鋭意進めている」
全国警察の本部長に向け、警察官がライフル銃を使用して行う駆除について対応を呼びかけました。
さらに11月4日、小泉防衛相はクマの出没が相次ぐ秋田県に自衛隊の部隊を派遣し、箱わな輸送の支援を開始すると発表しました。
刻々と変化するクマ対策に、ハンターは何を思うのか。
日本茶専門店という本業を抱えながら活動する玉木さんは、期待と課題を口にします。
(ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長)「ありがたいことだと思います。24時間365日いま私はやっていますが、これから先も隊員へ担わせなければならないのは、かなり厳しい血を吐くようなマラソン。(警察官も)銃を使用できる能力は持っているが、実際に捕獲するとなると、ヒグマの特性や狙いどころ、市街地での発砲など考慮しながらやらなきゃならない。我々が持つ技術も必要」
ハンターに求められる技術力とクマの知識。
警察や行政の対策は市民の命を守る有効打となりうるのか、今後の動きに注目です。