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回転ずし店でも人気!薬膳サーモンとは?陸上養殖の可能性…通年出荷可能 温泉で育つ高級魚トラフグも

サケなどが不漁となるなか、期待されるのが「陸上養殖」。

私たちの食を支える新たな可能性に迫ります。

回転ずしで人気のネタといえば…サーモン!メニューを見てみると…

回転ずしで欠かせないのが脂ののったマグロ。

(函太郎手稲前田店 桑原友和副店長)「お待たせしました。ニシンです」

ニシンの握りはこの店の看板ともいえる人気のネタです。

産地直送で新鮮な魚介を提供する札幌市内の回転ずし店。

なかでも人気ナンバーワンのネタと言えば…そう、サーモンです。

(五百住アナウンサー)「回転ずしに行ったら絶対に決まって食べるものがあって、それがサーモンです。今回も食べたいと思います」

そこで、目に飛び込んできたのがー

(五百住アナウンサー)「一番最初に…薬膳サーモンって聞いたことありますか?なんなんでしょうね」

メニューには「養殖」、そして聞きなれない「薬膳」の文字。

(客)「これ聞いたことないね。薬膳サーモン?」

(客)「薬膳サーモンってなんなんだろうね」

2025年の流行語大賞にもノミネートされた「薬膳」が、いよいよ寿司ネタになって登場か…

そんな期待と戸惑いの中、食べた味はー

(客)「おいしい?よかったね。脂身が甘いというか、やさしい」

(客)「ちょっととろける」

私もいただきましたが、全く薬膳の味はしないんです。

(五百住アナウンサー)「脂の部分が口の中でとろけていくが、その脂も甘みがあって、全然しつこくなくておいしいです」

ナゾが多い薬膳サーモン。

実際にさばいてもらいましたが、見た目も一般的なサーモンと同じピンク色。

一体どこで水揚げされているのでしょうか。

(函太郎手稲前田店 桑原友和副店長)「養殖場の池というか、ため池みたいなところで養殖されているので」

薬膳サーモンってどんな魚!?開発したのは東京の寿司職人

大雪山系のふもと、道北の上川町です。

雪が降りしきるなか、案内してもらった場所がー

(BKTC 小瀧由貴さん)「ここが薬膳サーモンを育てているいけすです。すごい雪が降る地域なので、「こんな雪のところで薬膳サーモン育てているの?」とすごいびっくりされて」

近年、記録的な不漁に見舞われている道内産のサケ。

2025年の漁獲量も前の年の64.5%と不漁が予測されています。

その代替策として期待されているのが、海に面していない場所での「陸上養殖」です。

(BKTC 小瀧由貴さん)「海だと気候変動のこともあるし、出荷できない時期があるので」

このサーモンを開発した小瀧由貴さんは、なんと東京の寿司職人。

健康を追求した魚を生産したいという思いから、「薬膳サーモン」が誕生しました。

でも、なぜ「薬膳」という名前なのでしょうかー

それは、サーモンが食べているこのエサに秘密がありました。

人でも食べられるということで、恐る恐る試食してみると…

(百瀬記者)「わりとスパイシーというか、香ばしいというか、そういった味がしますね」

(BKTC 小瀧由貴さん)「これは松の実やきくらげなど薬膳で想定されるような食材を何種類もブレンドして作り上げたので、薬膳飼料です。(薬膳サーモンは)尿酸値の上昇を抑える(ことが報告されている)アンセリンというのが含まれているということで、機能性表示食品をとっています」

特に、ここでは大雪山系の雪解け水で育てられているため、身が締まり、臭みが少ないサーモンを通年で出荷できるということです。

札幌市内のレストランで広がるワケは…「安定供給」

2022年に生産が始まった薬膳サーモンは、札幌市内のレストランでも広がりつつあります。

燻製にしたサーモンといまが旬の柿。

自家製のバジルソースなどを組み合わせたサラダです。

この店では半年前から提供を始めました。

(Osteria Da Boo. 菊地高章シェフ)「養殖なのでアニサキスがいないという部分、生でそのまま食べられるというのは、調理がしやすいなというのはある。(陸上養殖は)安定供給できるというのもありがたいですし、すごく助かります」

水揚げ量はまだ多くありませんが、陸上養殖は付加価値を生み出せると、小瀧さんは手応えを感じています。

(BKTC 小瀧由貴さん)「陸上養殖をすることによって、魚自体の品質向上ができる。(陸上養殖は)漁業権がないので、そういう意味では新しい企業の方が参入して活性化していくことが地方創生にもつながると思っています」

高級魚も「陸上養殖」自然界よりも早く成長!

陸上養殖はサーモンに限ったことではありません。

高級魚のトラフグを使ったてっさにー

この時期、体が温まるてっちり鍋まで。

ほどよい脂がのったこのフグも、すべて陸上養殖で育てられています。

江別市にある養殖場です。

水槽の中を悠々と泳いでいたのは…フグの王様ともいわれる「トラフグ」です。

自然界より半年ほど早く成長するということですが、そのわけはー

(百瀬記者)「この茶色い水はなんですか?」

(ココルクえべつ 木村正雄さん)「温泉水です」

実は、施設内から湧き出ている温泉を利用していたのです。

この温泉水をろ過し、トラフグが好む20℃前後の温度に保ちながら育てています。

(ココルクえべつ 木村正雄さん)「(温泉水だと)ミネラル分が多くなるので、いまは100パーセント温泉水でやっています」

さらに、こんな特徴もー

(ココルクえべつ 木村正雄さん)「じつは検体を出したところ、毒が検出されていないんですよね」

自然界のトラフグは貝などを食べることで毒を持つと考えられています。

一方で、養殖のフグは毒素のない魚粉で作ったエサを食べているため、毒が検出されなかったということです。

(ココルクえべつ 木村正雄さん)「安全な面はあります」

ここで育ったトラフグは同じ敷地にあるレストランで提供されています。

道内ではなじみが薄いものの、訪れた客は高級なフグ料理を満喫していました。

(客)「地元の養殖されたフグなんて初めて食べたけど、本当においしいですよ。淡泊な魚だけど、食感がいい」

海のない江別産のトラフグ。

今後は全国に向けてその魅力を発信していきたいと話します。

(ココルクえべつ 木村正雄さん)「もっと成長や安定した供給になれば、ふるさと納税の返礼品でできるかなと思っています。もっと水質などの管理をしていかなければならない」

薬膳サーモンに温泉育ちのトラフグ。

自然環境に左右されにくい「陸上養殖」は、北海道の未来を支える漁業として期待が寄せられています。

12/07(日) 05:54

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