【連載…裁判詳報④】札幌・すすきのホテル殺人 修被告が語る「あの日の浩子被告」
札幌・すすきののホテルで2023年7月、男性の首を切断し、頭部を持ち去った事件で逮捕・起訴された親子3人のうち、母親・田村浩子被告(61)の6回目の裁判が2024年11月20日に札幌地裁で開かれました。
起訴状によりますと、田村浩子被告は2023年7月、娘の瑠奈被告が殺害し、切断したとされる当時62歳の男性の頭部を自宅に隠すことを容認するなどした、死体遺棄ほう助などの罪に問われています。
浩子被告は初公判で起訴内容を否認していて、「ほう助」という罪が成立するかが争点となっています。
20日の裁判は父親の修被告が証人として出廷し、検察による証人尋問から始まりました。
<検察による修被告の証人尋問>
●浩子被告との会話・あの日の様子
Q.瑠奈被告が首を自宅に持ってきたとき、浩子被告を起こしてでも相談は?
A.特にしていない。
Q.浴室に首を置いたまま、すすきののナイトクラブに?
A.そういうことになると思います。
Q.もともと浩子被告は、瑠奈被告と被害者が会うことを心配していた?
A.はい。
Q.ならば、浩子被告に瑠奈被告が無事に帰ってきたことを伝えてもよかったと思うが?
A.寝ているのを起こしてまでとは思っていなかったと思います。
Q.「首を拾った」という話はとんでもないことだと思うが、浩子被告には伝えなかった?
A.はい。
Q.瑠奈被告が被害者と会って帰ってきた後、浩子被告にLINEを送ったのはいつ?
A.どのタイミングか記憶は定かではない。
Q.どんなLINEを送った?
A.どんな内容でしたかね。
Q.採用されている証拠によると、7月2日午前3時33分、『修被告:これからナイトクラブにお連れします』というLINEの履歴が浩子被告のスマホには残っていて、修被告のスマホからは消えている。これはどのタイミングで送ったのか?
A.そのあたりは定かではない。
Q.浩子被告からも返信がありますよね?午前3時34分『浩子被告:了解です』と。思い出せますか?
A.(証拠が)あるのであればしたんでしょうね。
Q.3時9分に浩子被告にLINEを送って、3時10分に浩子被告があなたにラインを返しているが、いずれも消されているので内容が分からない。
A.その時間であれば、思い出せないが『修被告:帰ってきました』と送ったのではないか。
Q.(浩子被告に)「(瑠奈被告が)首を拾ってきた」などはLINEでは伝えてない?
A.伝えていない。
Q.仮眠しようとするも「神経が高ぶって眠れなかった」と取り調べで話しているが?
A.そうだったんですか。いま思うと何が原因かは分からない。
Q.高ぶっていたのは瑠奈被告が首を持ってきたからでは?
A.そのことも影響しているのかなと思うが、はっきりとは覚えていない。
Q.すぐに瑠奈被告が犯人だと疑わなかったのか?
A.すぐに逮捕されるだろうと思っていました。
Q.あなたと瑠奈被告が留守にしていて、警察が来て首を見つけたら浩子被告が逮捕されるとは思わなかった?
A.浩子は何も犯罪を犯していないので、びっくりはすると思うが、捕まるとは思っていない。NPO法人の総会が終わった後にかくかくしかじかと伝えようと思っていたのだと思う。
Q.瑠奈被告が被害者を殺害したり、死体を持ってくる計画を知っていたのでは?
A.特に認識はしていません。知りません。
Q.(ホテルの)浴室で被害者を殺害する動画は見たか?
A.後ほど、一瞬ちらっと見せられました。
Q.「ワイドハイター、塩素系、浴室」と6月20日の夕方に検索しましたね?
A.細かいことは覚えていないがしたんだと思います。
Q.同じように「ハイターで指紋は消せる」と検索は?
A.したと思う。
Q.ドールについた指紋を消せるかで調べたと?
A.はい。
Q.漂白剤でドールが傷んでしまうと思わなかったか?
A.そう思ったので、どのようなダメージがあるか調べたんだと思います。
Q.ドールの材質や漂白剤の成分について検索は?
A.覚えていません。
Q.「ドール」を単語を含めて検索はしなかったのか?
A.はい。浴室用と履歴が出たのでクリックしました。
Q.首に関して浩子被告から聞かれたことはその後もなかった?
A.浩子から聞かれたというよりは、7月2日のどこかで話し合っているとは思うが、細かいやりとりは覚えていない。
Q.一家としての一大事で忘れることはないと思うが?
A.おそらく私の方から何かを言ったのではないかとうっすら覚えているぐらい。
Q.瑠奈被告が首を拾ってきたことを3人で話そうとしなかったか?
A.はい。
Q.半信半疑でも?
A.はい。
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次回は、「弁護人反対尋問と裁判官証人尋問」を配信します。
【弁護側の主張】11月5日開かれた田村浩子被告の5回目の裁判では、弁護側は以下のような主張を展開していました。
弁護側は検察に請求し、開示をうけた捜査報告書を証拠として提出。
瑠奈被告が事件の前後に使用していたとみられるノートパソコンの捜査で、以下の検索履歴が残っていたと明らかにしました。
・2023年6月30日「千葉 バラバラ 女性遺体」
・2023年7月6日「千葉切断遺体」
・2023年7月11日「法定刑は死刑のみ 日本で最も重い犯罪とは?弁護士に聞いてみた」
・2023年7月14日「本体と一緒に埋葬されなかった有名な体の一部」
また、修被告のグーグルアカウントには2022年から2023年にかけて、「ネイル」や「メイク」などの検索履歴が残されていたとする証拠を提出。
弁護側は「瑠奈被告も修被告のアカウントを使用していて、「殺人 時効」も瑠奈被告が検索した」と主張しています。
このほか、修被告の自宅から「言い訳するな まず謝罪しろ」「7月1日♡(土)」と書かれた貼り紙が押収された証拠を読み上げたほか、2023年11月に自宅で実施された検証調書を提出。
検証によって、瑠奈被告が所有していた人形32体は2つのスーツケースに16体ずつぴったり収納できることが明らかになり、弁護側は「頭部を持ち去るために事前にスーツケースを購入したわけではない」と主張しました。
次回7回目の裁判は来月12日を予定しています。