変貌!観光スポット「札幌・二条市場」いま地元客も急増…そのワケは「朝飲みの聖地」に?
生活に潜む様々なナゾを解き明かす「ナゾトキ」です。
きょうは札幌を代表するスポット「二条市場」のナゾに迫ります。
いま、観光客のみならず、地元客が非常に増えています。なぜなのでしょう?
魚屋さんも「海鮮丼専門店」にリニューアル!
師走の札幌・二条市場!
朝からこの賑わいです。
(記者)「何を買いましたか?」
(タイからの観光客)「ウニ!すてきな人たちにおいしい食べ物、すべてがいい!北海道大好き」
訪れる人の多くは、観光客です!
(宮永キャスター)「どうですか、お味は?」
(修学旅行生)「おいしいです」
(宮永キャスター)「もう幸せそうな顔が物語っていますね」
(修学旅行生)「愛知から来ました!修学旅行です!」
お目当てはと言うと…「海鮮丼」です。
写真に「映える」こともあって、若い世代にも大人気です!
こちらのお店、もともとは70年以上の歴史を持つ魚屋さんでした。
いまは海鮮丼の専門店です。
看板には魚屋さん当時の名残もー
市場で「生の海産物を買っても持ち帰れない」という観光客の姿を見て、いまの店主が6年前に海鮮丼専門店にリニューアルしたのです。
(宮永キャスター)「お客さんはやはり観光客?」
(小熊商店 浦口佳美さん)「そうですね、観光客が8~9割。ただ、地元の方もコロナのときには助けていただいて。二条市場に人がいないことを心配してくれた人がいてありがたかった」
札幌屈指の観光スポットに地元客?「朝飲みの聖地」に変貌!
(宮永キャスター)「二条市場…市場というだけあって海産物を扱う店が多いですが、実はスイーツの店もあるんです」
2020年オープンのスイーツ店!
看板メニューは、イチゴをまるごと乗せた道産ミルクのソフトクリームです!
(宮永キャスター)「意外と後味が爽やかというか、スーっと入ってきますね」
このソフトクリームには、実は深い狙いが…
(Komichi 金森将裕オーナー)「観光ブックに載っている店よりも地元の人が集まる店があったら行きたいなと思い、観光客が来なくても十分地元の方が集まれる店を作れたらいいなと」
(店員)「一週間に2回とか3回来てもらっていますね」
(地元の客)「家から1分だもの。入りやすいの」
(店員)「ありがとうございます」
このように、二条市場では「地元客」を狙った店が増えています。
(宮永キャスター)「それがこちら平田さんなんですけど、朝9時開店で…朝飲みなんて書いてますけど。見てください、いままだ朝ですよ。午前中なのにシャンパンタワーになみなみとシャンパンが注がれています」
(宮永キャスター)「みなさんどちらから?」
(客)「わたしは札幌です」
(宮永キャスター)「ほかの方は?」
(客)「札幌です」
(客)「たまたま休みでいつもはちゃんと仕事しています」
観光客も地元客も…一兎も二兎も追う!二条市場
この店の開店は毎朝9時です。
2019年から店を始めましたが、地元客の「朝飲み」の需要は狙い通りだったと言います。
(牛かつと海鍋 平田 相澤巨樹さん)「お待たせしました」
(宮永キャスター)「これがせんべろセット?1000円なんですか?」
(牛かつと海鍋 平田 相澤巨樹さん)「税込み1000円です」
(宮永キャスター)「これはハイボールですけど…」
(牛かつと海鍋 平田 相澤巨樹さん)「ギガサイズになっていまして、1リットルジョッキです」
(宮永キャスター)「これがすごい…重いんですよ。名物のポテサラも、ほのかにスパイスが効いていて酒にあう」
夜勤明けなど、夜通しの仕事を終えた人に人気がある一方で、地元客にはこんなニーズも。
(牛かつと海鍋 平田 相澤巨樹さん)「市場でひとりで飲んでいても周りの方からは観光客として見られるので、優しい目で見られるのも二条市場を朝飲みのメッカにできると思っている1つのポイント」
あの手この手を駆使して、観光客にも地元客にも使い勝手のいい市場。
それが「いまの二条市場」です。
二条市場は飲食店もすごく多く、1番多いのは海鮮丼が食べられる店です。
さらには、スイーツ店や朝から飲める店も登場しています。
「創成イースト」エリアで再開発が盛んな地域ですが、昔ながらの市場の面影を残しながら令和の時代も続いています。
ではなぜ、地元客を狙う店が増えているのか?
ナゾを解くヒントは、二条市場の歴史にありそうです。
なぜこの場所に?かつては「市民の台所」
再開発が進む札幌の中心部に、時が止まったかのような一角。
二条市場はこの場所で100年以上の歴史を重ねてきました。
およそ70年にわたってこの地で商売を営む、池田商店の池田訓久さんです。
なぜ二条市場はこの場所に誕生したのでしょうか。
(池田商店 池田訓久さん)「たぶん創成川で石狩からの船で魚(を売りに)来ていたって聞いたことがある」
125年以上前の明治初期。
石狩浜の漁師が川を上って札幌にやってきて、魚を売ったことが市場の始まりと言われています。
これは1957年・昭和32年の二条市場。
このころは「市民の台所」として親しまれていました。
(宮永キャスター)「これはいつ頃ですかね?昭和40年代ぐらいですかね。いまと扱っている商品とか売り方は?」
(池田商店 池田訓久さん)「全然違います。山売りだから」
(宮永キャスター)「イカとか塩サバとか…並んでいる魚もいまのものと違いますもんね」
(池田商店 池田訓久さん)「サンマの時期になったら10本ちょうだいとか、20本ちょうだいって。大体そういう感じでした。とにかく数売ってなんぼだからね」
二条市場は「時代と人情の交差点」
しかし1972年・昭和47年には…
(宮永キャスター)「再開発の計画があった?」
(池田商店 池田訓久さん)「昔、高校生ぐらいの時だったかな。ここを全部壊してマンションにして、下で商売するって言っていたんだけど…」
「ここにしかない風情を守りたい」と地元の反対で立ち消えにー。
古い建物が密集しているだけに、何度か大きな火災にも見舞われましたが…
1980年ごろの映像を見ると、このころはまだ「市民の台所」だった様子が記録されています。
昭和後半から平成にかけ、大手スーパーの進出などもあり地元客は減少。
変わって二条市場のメインターゲットは観光客になっていきました。
(池田商店 池田訓久さん)「やっぱり魚屋だから魚を並べて売りたいんだけど、売れないんですよ。ある人が(観光客向けに)カニ売れって。それじゃないと潰れるよって言われて、カニを売り出したんです。一番最後にカニを売ったのがうち」
令和に入ってからは新型コロナが猛威を振るい、その観光客も二条市場から消えました。
それでも、時代に合わせながら二条市場は生き残ってきたのです。
(宮永キャスター)「二条市場の魅力は?」
(池田商店 池田訓久さん)「やっぱりマチのど真ん中。全国歩いてもマチのど真ん中にあるのは上野のアメ横しかない」
(宮永キャスター)「これからもこの二条市場は時代に合わせながらも…」
(池田商店 池田訓久さん)「生きていくと思う…ずっと。その世代、世代でいろいろなことを考えて」
昔の風情を守りながら、時代に合わせて進化を続ける二条市場。
いま、地元客に人気の店が次々オープンしているのもその歴史の1ページなのです。