■日本ハム ５－４阪神（６月４日 エスコンフィールドＨＯＫＫＡＩＤＯ）

パ首位のファイターズは、大卒ドラフト５位ルーキー・山縣秀が４回にプロ初ホームランを放つなど、打線は２本塁打を含む１２安打５得点。

両チーム合わせて５本のホームランが出る乱打戦でしたが、リリーフ陣も踏ん張り、リーグ最速の３０勝に到達しました。

会心の当たりでした。

２－２の同点で迎えた４回、２死１塁で迎えた山縣の第２打席。

「“しっかり振ってボールに当てよう”としか考えていなかった」と、迷わずに初球の１４４キロストレートを振りぬきました。

打球がレフトブルペンに入ると、場内は地響きのような大歓声に包まれました。

山縣にとってプロ初ホームランとなる勝ち越し２ランは、結果的に決勝弾となりました。

試合後のお立ち台では、開口一番「やりましたー！」と右手を挙げてガッツポーズ。

「今までの野球人生の中で１番感触の良い当たりだった。まさか入ると思わず笑顔になってしまった。これまでダイヤモンドを１周することがなかったので、幸せをかみしめながら走りました」と満面の笑みを見せました。

試合は序盤から動きました。

初回、２死３塁のチャンスで４番・郡司裕也に打席が回ると、フルカウントまで粘っての９球目。

１４６キロの直球をセンター前に弾き返し、先制タイムリー。

今季３度のサヨナラヒットを打っている男が、勝負強さを見せつけます。

ところが２点リードの４回、阪神打線がファイターズ先発の加藤貴之を襲います。

４番・佐藤輝明、５番・大山悠輔の２者連続ホームランで同点に追いつかれました。

球場内は阪神ファンの歓声で、まるでビジターのような雰囲気に。

しかしそのウラ、山縣のメモリアルアーチで嫌な流れを断ち切りました。

（山縣秀選手）「タイガースファンは本当に震えるような応援。それに負けじとファイターズファンの皆さんも声を出してくださったので力になった」

交流戦が始まる前日には、新庄監督からＳＮＳのダイレクトメッセージでアドバイスをもらいました。

（山縣秀選手）「“ゆっくりタイミングをとって、ポイントを前にして”という話を日頃から言われているんですけど、それを改めて言っていただいた。ボスも自分がどうやったら打てるようになるか見てくださっている」

ボールを打つポイントと、スイングする際に前に突っ込みがちなフォームを修正するよう意識したことが、今回のホームランにもつながったといいます。

新庄監督は「飛んでいくところのコツが少しずつ分かってきたかな。ずっといいでしょ、打席内容も。また面白い選手が出てきたなと。ショートで守ってもらって。守備もいいですしね」と、２３歳の若武者に期待を寄せます。

試合前には、出身校の早稲田大が春季リーグ戦で優勝に輝き、３連覇を成し遂げました。

「勇気と感動をもらった。節目の日に打つことができてよかった」と後輩たちの活躍も大きな力になりました。

（山縣秀選手）「これからも全力でプレーをして、１勝でも多く貢献できるように」

初ヒット・初打点を記録したときのボールは家族に渡しました。

今回の記念のボールは自分の部屋に飾る予定だという。

【山縣秀プロフィール】

２００２年５月１日（２３歳）

身長１７６cm/体重８０kg/右投げ右打ち

早大学院高～早稲田大～日本ハム（２４年ドラフト５位）