【独自】ミラノ五輪で連覇 そしてラージヒルで金メダルへ スキージャンプ小林陵侑が新たな栄冠に向けて始動「ワクワクしている」

開幕まで半年を切った『ミラノ・コルティナ五輪』。中でも、注目の競技がスキージャンプ。
2022年北京五輪ノーマルヒルで金メダルを獲得、今大会で連覇とラージヒルでの金メダルを狙う小林陵侑選手を取材した。
小林陵侑選手
「昨シーズンは日本チームの中で僕だけ終わるのが2週間くらい遅かった。けど、札幌に帰ってきて少しゆっくりして、すぐに飛び始めた」
「今シーズンは、楽しみですよ。懸念点はいくつかあるけど、ワクワクしている」
7月下旬、夏のシーズン初戦を1週間後に控え、札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われた練習に密着することができた。
まず陵侑選手が行ったのは、平地でローラーのついた台に乗って、ジャンプのアプローチから空中姿勢までの一連動作を確認する『シミュレーション』というトレーニング。2年前、プロアスリートとして独立してから専属で指導を受ける、フィンランド出身のヤンネ・バータイネンコーチとともに、撮影した動画を見ながら一つ一つの動きを確認した。
ヤンネコーチ
「スタートは良さそうだけど、まだ飛び出しが早い。もっと高い位置をイメージして」
小林陵侑選手
「(スタッフ質問:突き抜けるイメージということ?)いや・・・なんですかね。教えられないです・・・」
長年取材をしているが、カメラの前で陵侑選手がジャンプの技術的なことを口にすることはほとんどない。
陵侑選手は頭の中にあるイメージを、ひたすら体で再現する感覚派のジャンパー。天才といわれる理由だ。
ヤンネコーチ「スーパー!リズムと全体のタイミングが良かった」
小林陵侑選手「これがジャンプ台でできるかどうかはわからないけど、とりあえず手応えはつかんだ。きょうは、3、4本飛ぶ」
2022年北京五輪 男子ノーマルヒル。陵侑選手は98年長野五輪以来、24年ぶりに日本に金メダルをもたらした。
その後も、ヨーロッパや札幌で開催されるワールドカップで勝利を重ね、通算勝利数は35勝と世界歴代7位。ミラノ五輪ではノーマルヒルの連覇と、さらに大きなジャンプ台・ラージヒルでの金メダルが期待されている。
開幕まで半年。現時点で、オリンピックへの特別な意識はあるのか。
小林陵侑選手
「全然ないですね。危機感をもった方が良いのかな。取材とかはやっぱり増えているのはあるけど・・・僕だけかな、こんなに呑気なのは。
五輪自体は楽しみですよ。けど絶対メダルをとってやる!とかは、まだ全然。とりたいですよ、とってやるとは思っているけど、今はそんなに」
カメラの前でもリラックスし、常に自然体で本音をのぞかせる陵侑選手。この独特な『陵侑流』が、大一番で圧倒的な強さを発揮する秘訣とも感じられる。
この日は4本のジャンプで練習を終えた。
小林陵侑選手
「感覚的には今日は良いジャンプもあったし、悪いところもわかっている。ジャンプは完成してもキープが難しい、その都度やっていくしかない。けど、11月の冬のシーズンでは開幕からガツンと戦いたい。それが五輪につながるかはわからないけど、つながると信じてやるしかない」
8月3日、陵侑選手は札幌・大倉山ジャンプ競技場で今シーズン初めての実戦に臨んだ。
その1回目で、いきなりヒルサイズに迫る134.5メートルを飛び、堂々のトップに立つ。2回目も本人が納得する130メートルを超えるジャンプを決め、国内でのシーズン初戦を優勝。五輪イヤー、好スタートをきった。
小林陵侑選手
「9月にイタリアで五輪のプレ大会がある。そこで五輪への実感がわいてくるのでは。最後に笑ってシーズンを終えられるように、W杯総合優勝、そして金メダルを目指してがんばりたい」