【能登に学ぶ】続く断水…どうする水の備え
大きな被害をもたらした能登半島地震から7月1日で半年。
一部の地域では今も断水が続き、住民は不便な生活を強いられています。
遅い復興の現実と、暮らしに欠かせないライフラインの備えを取材しました。
最大震度7の地震から半年が経った能登半島。
(根本記者)「こちらの建物はその揺れで横倒しになっていますが、半年が経ついまもなおそのまま残されています」
倒壊した家屋の解体は一向に進んでいません。
地盤が隆起した漁港は今も使えないまま。
漁船は出漁することができず、あの日から時が止まったかのようです。
(輪島市民)「半年間振り返って何もできなかった。まるっきり変わっていない」
(珠洲市民)「復興が若干遅い。時間が経つのが早い」
能登半島の先端・珠洲市に住む番匠重男さんです。
(番匠重男さん)「家はもうめちゃくちゃ。いまは潰せないと思っているけど」
自宅は倒壊こそしませんでしたが、長く避難所にいたため、家の中の片付けは進んでいません。
中でも一番困っているのがー
(番匠重男さん)「水はもう…こんな。カップヌードルなど流しを使わないようにして食べている」
珠洲市では浄水場が地震の被害を受け、一時ほぼ全域で断水しました。
(根本記者)「珠洲市内の浄水場に近いこちらの通りでは、このように本来地下にあるはずの水道管が地上にむき出しになっています。一刻も早く断水を解消させようと、各地でこうした応急的な工事が行われました」
6月までにおよそ8割の世帯で断水は解消されましたが、水道管の老朽化が被害を拡大したとされています。
今も断水が続く番匠さんにとって、一番の楽しみがあります。
向かったのは近所にある銭湯です。
運営するのは北見市出身の新谷健太さん。
すでに気が置けない仲です。
(新谷健太さん)「毎日来ていますよね。営業ある日は毎日、発災直後からずっと」
(番匠重男さん)「風呂場もきれいだし」
(新谷健太さん)「自宅の風呂よりいいですか」
(番匠重男さん)「全然良い。わし水ないもん」
日本海を臨む景色が自慢の銭湯。
しかし、地震で排水管が壊れ、目の前まで津波が迫りました。
水道も断水しましたが、お湯に使う井戸水はくみ上げることができたため、地震のおよそ3週間後に営業を再開。
水が使えない被災者に憩いの場を提供してきました。
番匠さんも新谷さんのお湯に救われた1人です。
(番匠重男さん)「いいわ。ばっちり!」
能登半島地震で浮き彫りになった水の重要性。
大きな地震と津波の発生が予想されている北海道でも、断水の被害が懸念されています。
およそ15万人が暮らす釧路市です。
市内では水道管の老朽化が深刻化しています。
設置から60年以上が経っていて、新しい管を1本ずつ手作業で繋いでいきます。
(釧路市水道整備課 森脇克泰課長)「耐震化率は昨年度末で44.4%になっているので、これからも引き続き取り組んで耐震化率を上げていきたい。100%にするには多大な労力と費用が必要になります」
市では断水に備え、水を供給する施設の整備を進めています。
この大型タンクに水を貯め、給水車で市民に届けます。
(釧路市水道整備課 森脇克泰課長)「市民はおおむね1週間分程度は賄える量になっています」
大きな3つの川が流れる釧路市では、災害時に行き来できなくなる可能性があるため、こうした施設を分散して配置しています。
(根本記者)「大型商業施設や住宅街にほど近い場所にも、水を供給する拠点が設けられています」
市の職員の到着を待たずに水を供給できるように、中には住民向けのマニュアルが貼られていました。
ただ、専門家は自治体の備えだけでは不十分だと指摘します。
(北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授)「(北海道は)範囲が広いということは、その分工事をしなければならない場所も膨大な数になるので、復旧には時間がかかる。行政で貯水槽を持っているところもあるが、水を使う人数や量に対しては非常に少ない。あっという間に貯水槽の水は無くなってしまうので、各家庭でも水の備蓄をお願いしたい」
能登半島の珠洲市にある銭湯です。
新谷さんは倒壊した家屋の木材を譲り受け、お湯を沸かしています。
地震から半年経ったいまも施設は断水が続き、トイレや水道は使用できません。
(新谷健太さん)「本当に水道が生活においては一番重要なライフラインだなというのを改めて痛感しますね」
それでも希望の湯を届けようと、住民の心と体を温め続けています。
(新谷健太さん)「思い出の詰まった家屋を燃やして水を温めて、何とか市民や支援してくれている方々の癒しにつながったらな」
災害時に寸断する恐れがあるライフライン。
中でも暮らしに欠かせない水の備えの重要性を再認識する必要があります。
(2024年7月1日放送)
一部の地域では今も断水が続き、住民は不便な生活を強いられています。
遅い復興の現実と、暮らしに欠かせないライフラインの備えを取材しました。
最大震度7の地震から半年が経った能登半島。
(根本記者)「こちらの建物はその揺れで横倒しになっていますが、半年が経ついまもなおそのまま残されています」
倒壊した家屋の解体は一向に進んでいません。
地盤が隆起した漁港は今も使えないまま。
漁船は出漁することができず、あの日から時が止まったかのようです。
(輪島市民)「半年間振り返って何もできなかった。まるっきり変わっていない」
(珠洲市民)「復興が若干遅い。時間が経つのが早い」
能登半島の先端・珠洲市に住む番匠重男さんです。
(番匠重男さん)「家はもうめちゃくちゃ。いまは潰せないと思っているけど」
自宅は倒壊こそしませんでしたが、長く避難所にいたため、家の中の片付けは進んでいません。
中でも一番困っているのがー
(番匠重男さん)「水はもう…こんな。カップヌードルなど流しを使わないようにして食べている」
珠洲市では浄水場が地震の被害を受け、一時ほぼ全域で断水しました。
(根本記者)「珠洲市内の浄水場に近いこちらの通りでは、このように本来地下にあるはずの水道管が地上にむき出しになっています。一刻も早く断水を解消させようと、各地でこうした応急的な工事が行われました」
6月までにおよそ8割の世帯で断水は解消されましたが、水道管の老朽化が被害を拡大したとされています。
今も断水が続く番匠さんにとって、一番の楽しみがあります。
向かったのは近所にある銭湯です。
運営するのは北見市出身の新谷健太さん。
すでに気が置けない仲です。
(新谷健太さん)「毎日来ていますよね。営業ある日は毎日、発災直後からずっと」
(番匠重男さん)「風呂場もきれいだし」
(新谷健太さん)「自宅の風呂よりいいですか」
(番匠重男さん)「全然良い。わし水ないもん」
日本海を臨む景色が自慢の銭湯。
しかし、地震で排水管が壊れ、目の前まで津波が迫りました。
水道も断水しましたが、お湯に使う井戸水はくみ上げることができたため、地震のおよそ3週間後に営業を再開。
水が使えない被災者に憩いの場を提供してきました。
番匠さんも新谷さんのお湯に救われた1人です。
(番匠重男さん)「いいわ。ばっちり!」
能登半島地震で浮き彫りになった水の重要性。
大きな地震と津波の発生が予想されている北海道でも、断水の被害が懸念されています。
およそ15万人が暮らす釧路市です。
市内では水道管の老朽化が深刻化しています。
設置から60年以上が経っていて、新しい管を1本ずつ手作業で繋いでいきます。
(釧路市水道整備課 森脇克泰課長)「耐震化率は昨年度末で44.4%になっているので、これからも引き続き取り組んで耐震化率を上げていきたい。100%にするには多大な労力と費用が必要になります」
市では断水に備え、水を供給する施設の整備を進めています。
この大型タンクに水を貯め、給水車で市民に届けます。
(釧路市水道整備課 森脇克泰課長)「市民はおおむね1週間分程度は賄える量になっています」
大きな3つの川が流れる釧路市では、災害時に行き来できなくなる可能性があるため、こうした施設を分散して配置しています。
(根本記者)「大型商業施設や住宅街にほど近い場所にも、水を供給する拠点が設けられています」
市の職員の到着を待たずに水を供給できるように、中には住民向けのマニュアルが貼られていました。
ただ、専門家は自治体の備えだけでは不十分だと指摘します。
(北海道大学 地震火山研究観測センター 高橋浩晃教授)「(北海道は)範囲が広いということは、その分工事をしなければならない場所も膨大な数になるので、復旧には時間がかかる。行政で貯水槽を持っているところもあるが、水を使う人数や量に対しては非常に少ない。あっという間に貯水槽の水は無くなってしまうので、各家庭でも水の備蓄をお願いしたい」
能登半島の珠洲市にある銭湯です。
新谷さんは倒壊した家屋の木材を譲り受け、お湯を沸かしています。
地震から半年経ったいまも施設は断水が続き、トイレや水道は使用できません。
(新谷健太さん)「本当に水道が生活においては一番重要なライフラインだなというのを改めて痛感しますね」
それでも希望の湯を届けようと、住民の心と体を温め続けています。
(新谷健太さん)「思い出の詰まった家屋を燃やして水を温めて、何とか市民や支援してくれている方々の癒しにつながったらな」
災害時に寸断する恐れがあるライフライン。
中でも暮らしに欠かせない水の備えの重要性を再認識する必要があります。
(2024年7月1日放送)
「STVニュース」
7/4(木)12:33更新