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ヒグマ春期捕獲に密着 7割以上で“目撃なし” 26歳の若きハンターも…捕獲のノウハウ継承へ 北海道

雪が残る険しい山中に入り、冬眠明けのクマを狙う「春期管理捕獲」。

危険を伴う現場に、STVのカメラが入りました。

26歳の若きハンターが率いる、クマ対策の最前線を取材しました。

道内最年少・26歳の猟友会支部長に密着

まだ深い雪に覆われた三笠市の山中。

道なき急斜面の途中で突然、ハンターの足が止まりました。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「今クマの足跡をちょうど見つけて。これはかなり新しいと思いますね。まだ濡れ感といいますか、歩いた後の体温でちょっと雪が溶けたんじゃないかなと」

まだ近くにクマがいるー

現場に緊張が走りました。

この日、行われていたのは、冬眠明けのクマを狙う「春期管理捕獲」。

現場を指揮するのは、ハンターの高崎梨徒さん26歳です。

2025年、道内最年少で猟友会の支部長に抜擢されました。

危険が伴うため、同行取材は厳しく制限されていますが、今回特別に許可されました。

高崎さんは新人ハンター3人を連れて山へ入ります。

急な斜面を登るとー

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「あ、シカだ」

目の前に姿を現したのはエゾシカです。

野生動物が活発に動き始める春。

突発的にクマと遭遇するリスクも高まります。

さらに山の奥へ…

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「(カラスが)何か食べているわけでもないし、また地面に降りて」

カラスがヒグマの獲物を狙っている可能性もー

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「このフェーズに来ると、視界に映る黒いすべてのものはクマに見えてくる」

入山してから3時間。

雪の上にある動物の足跡を見つけました。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「こっちの方に来てみると、やっぱりここに1、2、3、4、5本指の跡と、ここの肉球のシルエットがはっきり見えるので、クマだなと確信しています。実際のサイズは12ぐらいかなと。体重100キロもないんじゃないかなって」

さらに進むとまたクマの足跡がー

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「この足跡だけ見ると、さっきのちっちゃいのとはあからさまに違いますよね。なのでやっぱり親子の可能性が、今僕の中ではちょっとずつですね、6割ぐらいまで高まったかなっていう」

サイズの違う足跡が見つかり、すぐ近くに親子のクマがいる可能性が浮上しました。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「親子と会った時の親って、すごい興奮状態が目に見えて分かって。よだれが口から出ているとか、歯がギチギチガチガチになっているとか、地面を叩いて」

足跡を追って5時間。

結局、クマを見つけることはできませんでしたが、新人ハンターにとっては貴重な経験になりました。

(参加者)「実際にやっぱりクマの痕跡を間近で見て、なおかつ大きさであったり雪の溶け具合であったり、そういう実地でしか得られない経験。非常に勉強になったなと思います」

過酷な山中で、なぜクマを追い続けるのでしょうかー

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「ハンターが歩き回ることによる警戒心の植え付けですね。クマにはそもそも簡単に出会えないっていうのと。出会ったからといって全部のクマが捕獲できるかと言ったら、そんな簡単な生き物じゃないので。『逃げられました』みたいなそういう結果が、そのまま警戒心の植え付けにもつながっているのかなと思っていますし」

ベテランハンターの高齢化が課題 失われる「捕獲のノウハウ」

人里への出没を抑えるため、3年前から始まった「春期管理捕獲」。

道によりますと、2025年に実施した48市町村のうち、実に7割以上でヒグマの目撃が一度もありませんでした。

2026年の捕獲数も、3月まででわずか1頭に留まっています。

かつての「春グマ駆除」が1990年に廃止されてから30年余り。

山でクマを追う機会が激減し、「捕獲のノウハウ」が失われつつあるのです。

ハンター歴はまだ4年の高崎さん。

それでも10頭以上のクマを駆除してきました。

春期管理捕獲でも、三笠支部は3年連続でクマを捕獲しています。

その実績の裏にあったのがー

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「本当に過去にクマが出た場所、この黒い点が夏場の目撃情報なんですけど、それをベースにその周りを春にひたすら歩いていくっていう。歩いていく中で痕跡とかを見つけたり」

見つけた足跡やフンの位置を地図上に記録し、行動パターンを予測しているのです。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「これが(仲間の)鈴木さんが見つけた穴で、中にいた子グマですね」

地道な分析の結果、昨シーズンはクマの冬眠穴を見つけることができました。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「僕がクマをやろうと思ったきっかけが、当時の支部長が箱わなの止め撃ちをしたんですけど。これ、わなの鉄筋がぐにょーんってひん曲がっているんですけど、そこに弾が当たって、クマのお尻に跳弾したんですよね。高齢化みたいなのを、現実として受け止めるきっかけになるので」

危険な現場を支えてきたベテランハンターの高齢化。

北海道猟友会のトップも、若いハンターの存在は欠かせないと話します。

(北海道猟友会 堀江篤会長)「やっぱり年配の方っていうのはもうだんだんとね、細かいこといろんなことが大変なんですよ。そして正直言って、やりたくないんですよ(笑)。そして若い方はね、やっぱりそれが機敏にテキパキとやってくれる。だから彼がずっと続けばね、素晴らしい猟友会になりますよ。これは期待できるなと思っています」

若くして支部長を務める高崎さん。

この日は箱わなの点検にまわりました。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「多分このワイヤーが、クマにかじられすぎて、ちょっとよれてきているのかなと思います。(以前)ここにわなを置きに来た時に、多分クマがいて。そういう場所なんで」

高崎さんは、クマの捕獲だけが目的ではないといいます。

向き合うのはクマと人との境界線です。

(北海道猟友会三笠支部 高崎梨徒支部長)「(クマを)根絶したいとか、地域からいなくなればいいと思っているわけではないので、クマが三笠からいなくなったら、僕はすごい嫌なので。クマのいる山ってすごい豊かで、素敵なことだと思いますし、ただやっぱり、お互いの境界線がちょっと曖昧になっている部分はあるのかなと。何が正解かは分かんないですけど。チャレンジは続けていきたいなと」

危険と隣り合わせの現場で活動する若きハンター。

住民の命を守るために、きょうも山へと向かいます。

04/26(日) 07:53

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