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【海の異変】名産・エゾバフンウニが姿を消した! 丼ぶりは一杯2万円超えに…水中を撮影 北海道

【動画】どんぶり一杯2万円以上 ウニが記録的不漁で高騰 海水温上昇“磯焼け”が深刻化 北海道

どんぶり一杯が2万円以上!

旬を迎えているウニに異変が起きています。

特にエゾバフンウニは記録的な不漁に見舞われていて、漁師や飲食店は頭を悩ませています。

いま、海の中で何が起きているのでしょうか。

衝撃!ウニ丼2万2000円

どんぶりいっぱいに盛られた鮮やかなオレンジ色のウニ。

濃厚な甘みが特徴のエゾバフンウニです。

しかし、その値段は…

(百瀬記者)「余市町にあるウニ丼専門店にやってきました。中のメニューを見ますと、赤と書かれたエゾバフンウニ丼がなんと、2万2000円です」

(客)「もうびっくり。桁が違うかなと思っちゃった。他を探しても(エゾバフンウニが)ないんですよ。直接電話してきました」

値段は衝撃の2万2000円!

それでもこのエゾバフンウニを求めて、連日客が訪れます。

もちろん、味は間違いなしです。

(客)「めっちゃおいしい」

女性たちが食べているのは、キタムラサキウニとのハーフ丼。

それでも値段は1万4000円を超えます。

(客)「甘い!味がやっぱり白(キタムラサキウニ)に比べて濃いですね」

ここぞとばかりに記者も味わってみました。

(百瀬記者)「うーんおいしい!磯の香りが強いですし、濃厚な甘みがあって、本当に絶品ですね」

数年前から異変「信じられない」5年前の4倍近くまで高騰

とはいえ、なぜこんなに値段が高いのでしょうか。

(うに丼専科うにどころ新岡商店 新岡崇店長)「バフンウニの価格が高騰している状況なので、この値段にせざるを得ないという状況。2、3年前くらいからちょっとあれっていう感じ。去年くらいから一気にぐんと上がっちゃって、その流れがそのままという感じ」

この店では店主の父親が入札方式の競りに参加してウニを仕入れていますが、競り負けてしまう日がよくあるといいます。

(新岡商店 新岡恭司社長)「立派なものだと2万円くらいする」

(百瀬記者)「これ1つで?」

(新岡商店 新岡恭司社長)「1個だよ?1個2万円以上するでしょ。信じられないでしょ」

2025年の競りの最高値は、100グラムで2万9000円!

5年前の4倍近くに跳ね上がりました。

(新岡商店 新岡恭司社長)「元に戻ってほしい」

飲食店の頭を悩ませるバフンウニの高騰。

余市や積丹など、北海道が誇るウニの産地でいま、異変が起きていました。

原因は猛暑? 海の中を覗いてみると…

午前9時、漁を終えた磯船が続々と戻ってきました。

水揚げしたウニを見せてもらうと…

(漁師 成田博さん)「ウニの水揚げが少ないですね、ことしは」

(百瀬記者)「きょう獲れたのは?」

(漁師 成田博さん)「これはキタムラサキウニですね」

(百瀬記者)「エゾバフンウニが高騰していますけど、きょうは獲れた?」

(漁師 成田博さん)「ないです。ことしは本当にないです。60年、70年やっている人たちもこんな年ないと言っているくらいですから、異常だと思います」

この日はすべて、淡い黄色の身が特徴のキタムラサキウニでした。

後志地方で2024年に獲れたウニの9割がキタムラサキウニです。

希少価値が高いエゾバフンウニですが、過去5年でおよそ7トンも漁獲量が減るなど、不漁が続いています。

今シーズンは特に不振で、ほかの漁師も水揚げはごくわずかでした。

(漁師 成田博さん)「この暑さで死んじゃってるのかなって。8月、9月になると、ひっくり返って(殻が)白くなって海の中で死んじゃってる姿も見られているので」

地元の漁師が口をそろえて話すのが、近年の記録的な暑さです。

(百瀬記者)「ウニの産地・積丹町で船を出してもらいました。これから生息ポイントへ向かい、海の中がどのようになっているのか確認していきます」

この暑さは日本海にどのような影響を与えているのか。

小型カメラで海の中をのぞいてみると…

積丹ブルーと呼ばれる青く透き通った海。

大きな岩にはびっしりとウニがついていましたが、すべてキタムラサキウニです。

そして、まわりを見渡すと、ウニのエサとなるコンブなどの海藻がありません。

この状況に専門家はー

(北海道大学大学院水産科学研究院 浦和寛准教授)「ほぼ視界に海藻が見えないので、磯焼けと呼ばれる状態ですね。海水温が上がることによって、海藻も生えづらい・育ちづらい環境になってしまいますので。ほとんど身が入ってないです。エサがないので」

地元のダイバーにも撮影を協力してもらいましたが、海藻が減少し岩肌が白くなる「磯焼け」が深刻化していました。

さらに追い打ちをかけるのが、記録的な暑さによる海水温の上昇です。

後志北部の海水温は年々上昇しています。

ここ3年は、ウニ漁が解禁されている6月から8月に、平年を3℃から4℃ほど上回っていました。

この影響で、エゾバフンウニが生息しにくい環境になってしまったということです。

(北海道大学大学院水産科学研究院 浦和寛准教授)「エゾバフンウニは冷水性、冷たい海を好むウニで、一方でキタムラサキウニはあたたかくても大丈夫なウニ。エゾバフンウニが冷水性のウニということもあって、水温が高くなりすぎると生存しにくい状況になる」

安定供給へ 栽培漁業で稚ウニ約200万個を放流

こうしたなか、エゾバフンウニを安定的に確保する取り組みが進められています。

(百瀬記者)「水槽の中は何ですか?」

(泊村栽培漁業センター 前川誠場長)「こちらはエゾバフンウニの赤ちゃんになります。小さくても立派なウニの形をしています」

(百瀬記者)「小さくてもトゲがあるのがわかりますね」

泊村にある栽培漁業センターでは、人工授精で生まれたウニを1年かけて育てています。

およそ200万個の稚ウニを余市などの道内各地に放流。

3年ほどで水揚げができる大きさまで成長するということです。

(泊村栽培漁業センター 前川誠場長)「放流したときは過酷な環境にさらされる。水温の他に、ヒトデやカニなどの外敵もいるので、それによる減耗もある」

記録的な不漁に見舞われているエゾバフンウニ。

現時点では栽培漁業に頼らざるを得ないのが実情です。

(漁師 成田博さん)「何十万個と放流して、目には見えないけどもそれがなんとか岩の陰とかに入って、少しずつ細く長く残ってきているんじゃないかなと。これを辞めちゃうと、漁師は商売にならないと思う」

深刻化する海の異変にどう向き合うのかー

このままではエゾバフンウニが、ますます手の届かないものになってしまうかもしれません。

08/10(日) 07:51

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