“違法駐車”やマナー問題 人気高まるバックカントリー 遭難者の7割は外国人 環境整備が急務
自然のパウダースノーが楽しめるバックカントリースキー。
世界から多くの外国人が北海道内を訪れています。
一方で遭難事故やマナーの問題も。
大自然の雪山の裏側で、いま何が起きているのでしょうか。
ずらっと並ぶ“違法駐車” ほとんどがバックカントリー目的か
世界中のスキーヤーやスノーボーダーを惹きつける北海道のパウダースノー。
ゲレンデ外の山中を滑る「バックカントリー」の人気が高まっています。
極上の新雪を求めて多くの外国人が訪れる一方で、今ある問題が浮上しています。
世界に知られるスキーリゾートのニセコ。
これは、ニセコの隣・真狩村で撮影された映像です。
ずらりと並んだ車の長い列。
本来すれ違える道路が一車線になってしまっています。
その近くにある道路にも外国人の車がありました。
何のためにとまっているのか聞いてみるとー
(外国人)「この山でバックカントリーをする人はみんなここに停めているから。私が知る限り20年前からみんなここに停めている」
(記者)「ここに停めて行く?」
(外国人)「そうだよ。もともと日本人に教えてもらった場所だ」
並んでいる車のほとんどが、バックカントリーが目的の違法駐車とみられます。
周辺施設にも影響…「多いときだと50台停まっている」
その影響は、周辺施設にも及んでいます。
源泉かけ流しが人気の蘭越町の「五色温泉」です。
駐車場はバックカントリーをする人の車であふれ、道路にも車が並び、温泉の入口をふさいでしまうこともー
(五色温泉 佐藤直樹さん)「多い時だと50台近く車が停まっている時もあって。人が飛び出してきたりとか、非常に危ないところがあると感じている。ニセコはスキーの街なので、(バックカントリーを)やること自体は良いと思うんですけど、だったらちゃんと駐車場を整備したり環境を整備したりということを取り組んでいってほしいなというふうには思いますね」
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「ここはスキー場利用者の駐車場です。他の人にも伝えて」
赤井川村のキロロリゾートです。
外国人に声をかけているのは、北海道のバックカントリー・ガイドの第一人者、塚原聡さんです。
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「普通はゲレンデでチケット買って滑るとしたら、歩く準備をしないで滑る。でもここで滑り止めをつけているってことは、ここから歩いて入っていくっていう」
本来、スキー場を利用する人が使う駐車場ですが、バックカントリーが目的でとめるケースが相次いでいます。
先ほど声をかけた外国人は、私たちの目の前を通ってスキー場とは反対方向の山へと向かっていきました。
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「文化の違いから、スキー場に来て山があるのになんで行っちゃダメなんだっていう。お金を(スキー場に)落とさないで楽しんで帰って行っちゃう。違法ではないので、マナーとして啓蒙して伝えていくしかない」
(外国人)「ルールに従いたいけどルールがはっきりしていない。ルールをオープンにしておくことが大事だと思う。(ルールを)閉鎖的にするのはみんなにとって良くない」
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「たくさんの人がここに来るが事故が多い」
遭難者の「7割以上」が外国人 増える“外国人ガイド”にも課題
大自然の雪山を楽しむバックカントリー。
一方で、ひとつ間違えれば命を落とす危険が潜んでいます。
(救助隊員)「巻き込まれた人どこですか?」
3月5日、上富良野岳で道警が撮影した映像です。
15人のパーティーでバックカントリーをしていたスノーボーダー。
救助されたのは、なだれに巻き込まれた台湾出身の男性です。
(救助隊員)「がんばれがんばれ」
(救助隊員)「横のほうが楽か?横のほうが楽?」
救助隊員が体を温めながら声をかけ続けます。
男性はその後、ヘリコプターで搬送され一命をとりとめました。
しかし、この事故から5日後。
「なだれが発生して1人が埋まっている」
近くの三段山でバックカントリー中だったカナダ人の男性がなだれに巻き込まれ、意識不明の重体となりました。
道警によりますと今シーズン、バックカントリーでの遭難者は87人。
このうち、外国人は67人と全体の7割以上を占めています。
バックカントリーの人気と共に、外国人ガイドも増加しています。
(外国人ガイド)「バックカントリーガイドです。山岳ガイドではないけれど、なだれ講習や野外救急のトレーニングを受けてガイドをしています」
(外国人ガイド)「国際ガイドの資格を持っています」
関係者によりますと、上富良野岳で14人を案内していたのも台湾出身のガイドでした。
外国人ガイドが増える中、塚原さんはある課題を指摘します。
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「ガイドとして我々と同じような職業で山に案内している外国人が結構いるんですけども、実際山岳ガイドとしてのビザがないんですよね」
札幌出入国在留管理局によりますと、日本には「バックカントリーガイド」を想定した在留資格はありません。
しかし、ガイド活動が「スポーツの指導」にあたると判断されれば、スキーインストラクターと同じ「技能」の在留資格で活動できる可能性があるといいます。
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「いま多くの人が持っているであろうビザが、スキーインストラクターのビザ。例えばスキー場内で技術を教える人たちと、我々は人の命を預かって雪山を安全に連れていくというところで、全く違う業態だと思っている」
塚原さんは山岳ガイドの資格を想定した制度の見直しを訴えます。
(北海道山岳ガイド協会 塚原聡副理事長)「若い人たちのために価値ある自然を有効に残していきたいので。そういった仕組み作りとか。住んでいる人たちが普通に楽しめるような環境になればいいかなとは思っています」
世界を魅了する北海道のパウダースノー。
誰もが安全に楽しめるために、ルールの徹底と仕組み作りが求められます。