増え続けるクマの目撃件数 道内自治体は駆除の訓練実施 鳥獣保護管理法改正でクマ駆除の体制に変化も
北海道内では5月に入り、クマの目撃情報が200件以上寄せられています。
アウトドア用品店では対策グッズを買い求める人が増えているほか、行政は市街地でのクマ出没に備えた体制づくりに乗り出しています。
人間が近づいても逃げ出さず草を食べ続けるクマ。
道北の下川町で19日に撮影された映像です。
道内のクマの目撃件数は4月末の時点で320件と、前年・同時期と比べ100件ほど多くなっています。
5月に入ってからも200件以上の目撃があり、2024年以上のペースとなる見通しです。
札幌市白石区のアウトドアショップです。
登山や釣りなどレジャーの予定がある客が、クマ撃退スプレーを購入していました。
(スプレーを買った人)「去年まで持っていなかったの。クマに何回かあったことがあり、さすがに持たないと危なくて」
(阿部記者)「クマ対策グッズもいま数多く出ていて、このような射程距離の長いスプレーや、ポケットに入るくらい小さいものもあります」
他の商品と比べて強力なこちらのスプレー。
射程距離は12メートルで、クマとの距離を保った状態で使えます。
また、市街地での出没に備え、家に置きやすいコンパクトなスプレーも人気です。
(秀岳荘白石店 外崎裕子さん)「熊スプレー・熊鈴を持っていただければ、安全に登山できると思いますので、大丈夫かなとは思わずに、念には念を入れて持っていただきたいです」
オホーツクの斜里町ではー
(警察官)「現在クマにあっては歩道上を北側に進行中…」
町と警察、ハンターが連携してクマの駆除にあたる訓練が実施されました。
想定された出没場所は市街地中心部です。
上空からクマを監視するため、ドローンも使われました。
4月に鳥獣保護管理法が改正され、住民の安全確保などの条件を満たせば、市街地でも銃を使ったクマの駆除が可能になります。
国はクマの大量出没が予想される秋までの施行を目指していますが、急がれるのが責任を誰がもつのかなどの体制の構築です。
(道の担当者)「市町村や捕獲従事者の方は不安を抱えていると承知しています」
19日に道庁で開かれたオンライン会議です。
市町村の担当者やハンターが参加し、市街地で発砲する際のガイドラインを早急に示してほしいなどの意見が出ました。
(道ヒグマ対策室 森山寛史主幹)「指示を受けて緊急銃猟を行って、捕獲従事者の責任にならないように国に意見してほしいという声があった」
増加するクマに対応するため、スプレーの携行など個人でできる対策はもちろん、地域ぐるみの体制づくりが求められています。