20年前から景色が一変 初水揚げなのにせり中止 スルメイカ記録的不漁 ヤリイカを売る店も 函館
6月1日午後8時半ごろの北海道・函館港。
次々とイカ漁を終えた船が戻ってきましたが、船倉にイカの姿はありません。
道南では1日、スルメイカ漁が解禁され、11隻が出漁しましたが、水揚げされたのはわずか数匹。
2025年は1匹も釣れなかった船も多く、漁師からは落胆の声が聞かれました。
(漁師)「赤字赤字。しばらく(漁に)行けないね」
(漁師)「イカがいないと本当に函館の船もそうだし我々もいなくなってしまう」
2日朝の市場では、競りに出すイカがないため、初競りが中止となりました。
市場によりますと、初水揚げで競りができないというのは初めてだということです。
(函館魚市場 美ノ谷貴宏さん)「解禁日に獲れていないというのは初めてですね。きょうあす急にイカが出てくる、獲れるとは考えられないのかなと思う」
20年前の市場です。
水揚げされたスルメイカが次々と競りにかけられ、市場はにぎわいをみせていましたが…
その取扱量は年々減少。
10年前の3500トンから10分の1近くまでその量を減らしています。
(富田鮮魚店 富田和子社長)「競りがなくて急遽ヤリイカを売っているの」
函館市内の鮮魚店にはスルメイカではなく、ヤリイカが並びました。
(富田鮮魚店 富田和子社長)「まだヤリイカがあるからヤリイカに助けられています。まずこれに頼るしかないです。店を休むわけにはいかないのでね」
日本周辺の水産資源を研究する宮原さんは、北海道でのスルメイカの不漁は、資源量の減少以外にも理由があると言います。
(水産資源研究所水産資源研究センター 宮原寿恵主任研究員)「青森・津軽より北側の日本海はスルメイカが行かなくなっているという状況があります。その原因が何かというのはなかなか難しいんですけども、海洋環境の影響というのがどれかじゃなくて全部複雑に影響している可能性がある。今獲れないからといって今後も一切獲れませんということもないと思うが、一時期のようにものすごくたくさん獲れるかというと、そこは資源が減った今の状況だと難しいのではないか」
近年不漁が続くスルメイカ。
函館を代表する海の幸だけに、関係者は漁獲の回復に期待を寄せています。