まな板は牛乳パック…限られた調理器具で料理 中学生が学ぶ防災キャンプ 胆振東部地震から7年
北海道・胆振東部地震から2025年9月6日で7年です。
災害の記憶を風化させないために、安平町では中学1年生を対象とした1泊2日の防災キャンプが実施されました。
生徒たちがその中で学んだこととは。
厚真町吉野地区の山際に、9月1日から献花台が設置されました。
手向けられた花には、追悼の思いや今後のさらなる復興への願いが込められています。
(阿部記者)「この場所では7年前、地震の影響で大きな土砂崩れが起き、甚大な被害が発生しました」
2018年9月6日、午前3時すぎ―。
大きな揺れが北海道を襲いました。
土砂崩れによって多くの住宅が押しつぶされるなどして、44人が亡くなりました。
最大震度7を観測した、厚真町は最も被害が深刻で、犠牲者は37人に上ります。
あの日の記憶は、町民にとって大きな傷跡として残っています。
(厚真町民 80代)「早いですよね、記憶はずっとあります。職場の人も亡くなっているし…それは忘れない」
あの災害の経験を―。
「訓練、訓練…大きな地震が発生」
次の世代につなごうと活動している学校があります。
安平町立早来学園。
ここは小学生から中学生までが一緒の校舎で学ぶ義務教育学校です。
このうち、中学1年生に当たる7年生の生徒たちは、5日から1泊2日の防災キャンプを体験しました。
まずはゲーム感覚で、避難所の運営について学びます。
「赤ちゃんゾーンどこにする?」
「おむつ替えたりおっぱいをあげたり出入りしやすいところがいい」
「歩くのが大変な人がいたら出入口が近い方がいい」
「(元気な人は)奥の方に」
手助けが必要な人への対応など3時間ほど熱い議論が交わされました。
午後6時すぎに始まったのは、夕食づくりです。
「卵アレルギーに気を付けて料理を考えてほしい」
避難所には高齢者のほか、病気やアレルギーのある人がいることも想定しながら、料理を作りました。
防災キャンプというだけあって、まな板は牛乳パックです。
調理器具が限られる場合に、有効活用できるのがビニール袋です。
食材をゆでたり、ご飯を炊いたりするときにも使うことができます。
およそ1時間で、オムレツやラーメンなどが完成しました。
(生徒たち)「いただきます」
(生徒)「うまい。肉入れたから味はある」
午後8時すぎには、停電を想定して暗闇の中、校内を歩く体験も。
「キャー!だれ!?なんだカメラマンか」
早来学園がこのような形で防災キャンプを行うのには、大きな理由があります。
(安平町立早来学園 片岡鉄也先生)「(生徒たちは)地域の担い手にとして防災の必要な力になっていく。地域の人にどう助けてもらって来たのかを知ることがスタート」
7年前、安平町にあった小学校と中学校の校舎には、大きな被害が出ました。
その後、復興のシンボルとして開校したのが、この早来学園です。
生徒たちは当時6歳で、保育園のお泊り会の最中に被災した子もいました。
7年が経った今、ゲームや友達との遊び感覚でも、震災の時の対応を身に着けてほしいというのが、学校関係者の思いです。
就寝時間を迎えました
(生徒たち)「おやすみー!」
一夜明け、生徒たちは何を感じたのでしょうか。
(生徒)「被災した時には大変だから、手伝えることあればやりたいと思う」
いつどこで起きるかわからない災害。
当時の記憶と教訓を次の世代につなぐ取り組みが進んでいます。