【独自】卒業生語った専門学校の実態「テスト勉強していなかった」幼稚園教諭免許試験答え丸写し問題
(現役の幼稚園教諭)「本当にこれが普通なんだよっていう感じで『持ち込めるからね』っていう感じ。私たちもそれが最初からだったので特に誰も疑問に思うことなく」
(記者)「みんなそうやる?」
(現役の幼稚園教諭)「そうですね。みんな持ってました」
札幌の専門学校を数年前に卒業した現役の幼稚園教諭の女性です。
この学校ではある行為が横行していました。
『試験で模範解答持ち込み』
女性が通っていたのは札幌市中央区の「札幌こども専門学校」です。
幼稚園教諭の免許の取得には単位の取得が必要で、その試験の際に「模範解答の持ち込み」が許されていました。
主導していたのは学校側だったといいます。
(現役の幼稚園教諭)「免許の取得のテストはスクーリング(対面授業)っていうのがあったんですけど、『スクーリングをしっかり受けていれば、持ち込んだ紙とかにちゃんとメモとかしておけば、絶対に受かるよ』っていう風には先生方が言っていて」
(記者)「先生が言ったからみんなやってる?」
(現役の幼稚園教諭)「そうですね」
STVは実際の試験で使われた学生の解答用紙を関係者から入手しました。
(青柳記者)「こちらは試験の解答用紙です。ある問の記述の1行目は『学習指導要領は』そして2行目は『一定の水準の教育が』と続きます。めくって別の学生の解答用紙ですが、1行目も2行目も同じ書き出しが続いています」
自由記述の問題ですが、一字一句同じ言葉がー
模範解答を書き写すだけで満点をとることができます。
一般的にはあり得ないはずの試験の方式ですが、女性が違和感を持ったのは卒業してからだったといいます。
(現役の幼稚園教諭)「どういうテストだったか(他の学校の卒業生に)聞いたら割と違う部分があって、札幌こども専門学校は簡単だったんだなという風に思いました。なんか持ち込めるからそんな家に帰って勉強しようというのは私自身はあんまりなくて。ちゃんと書いてるかな、持ち込めるやつちゃんと書いてるかなっていう確認だけで、テスト勉強っていうテスト勉強はしてなかったです」
学びが不十分な学生が教育現場に送られている実態…。
専門学校の元教員の男性は、免許制度の根幹を揺るがすとしてこの問題を告発しました。
しかし、学校側は5月、男性を懲戒解雇したのです。
(提訴した男性)「正しいことを告発して解雇になるのはおかしい。おかしいことはおかしいと声をあげる権利が誰にでもある」
解雇は無効だとして、男性は運営元の学校法人を7月末に提訴し、賃金の支払いなどを求めています。
また、文部科学省は「持ち込みによる丸写しは不適切」だとして、すでに関係先を行政指導しました。
(現役の幼稚園教諭)「こちらが成績証明書になります」
(記者)「一番いい評価が?」
(現役の幼稚園教諭)「Sですね」
数年前に卒業した女性の成績証明書です。
ほとんどの教科で最高の評価がつけられています。
このうち多くの試験で模範解答を書き写すことができたといいます。
問題が明るみになったあと、女性は職場での「生きづらさ」を感じています。
(現役の幼稚園教諭)「札幌こども専門学校を卒業しているというのは先生方分かっているので、同い年、1年目の先生には「大丈夫?」ってよく聞かれるんですよね。そういうのはちょっとなんか、私たちもずるしたくてずるしたわけじゃないので、そういうのはちょっとなんか迷惑っていうか。最終的には丸写しはもうやめて、ほかの学校とかどうやってやっているのか、ちゃんとした普通の国家資格を実践していってほしいかなと思います」
学校側はSTVの取材に「模範解答を見て解答できる状況があった」とする一方、詳細なやりとりには応じていません。
告発によって明らかになった模範解答の持ち込み問題。
「教育現場」の責任を軽んじた学校側の今後の対応が注目されます。