雨雲発達のメカニズム “海水温の高さ”が影響? 夏の猛暑が遠因に…北海道に初の線状降水帯
災害の危険度が高まるとされる「線状降水帯」が9月21日未明、北海道内で初めて発生しました。
「線状降水帯」の発生により、豪雨や強風が吹き荒れ、道内の広い範囲に大きな爪痕を残しました。
(坂上カメラマン)「川が氾濫して住宅街が冠水しています」
21日午後2時前、釧路市音別町の住宅街の様子です。
広い範囲にわたって泥水に覆われ、川と住宅街の境目がわからない状態に・・・
21日午前3時すぎ、釧路地方や十勝地方に道内で初めてとなる「線状降水帯」が発生しました。
24時間降水量が十勝の浦幌町で167.5ミリ、道東の白糠町でも172ミリと観測史上1位を記録しました。
20日夜から21日未明にかけての雨雲の動きです。
日付が変わったころから道東を中心に発達した雨雲がかかり続けているのがわかります。
(武田記者)「白糠町の和天別川です。かなり水位が上がっていまして、あちら氾濫してしまったのか、かなり水がたまっています」
道東の白糠町では川の周辺で水があふれ、住宅にも迫っていました。
釧路市音別町の住宅街でも公園の遊具が水につかり道路も冠水。
その様子を不安そうに見つめる住人の姿がありました。
(冠水した先の住人)「逃げるときは道路だけが冠水していたので大丈夫だったんですけれども。(車が)水没してエンジンが止まってしまって、いまレッカーしてもらって出したんですけれども。それでいま様子を見に来たらさらに水位が上がっているので、もうどうにもならない状態ですね」
雨が落ち着いたため、男性が冠水した先にある自宅に一時的に戻ってみると…
(冠水した先の住人)「こっちは水が入っていないですね。よかったですね」
釧路市では21日午前3時に音別地区を中心に25地区・890世帯に避難指示が発令され住民が避難しました。
(避難した住民)「夜が(雨が)すごかったから、洪水という情報があったので川がやばいかなと思ってこっちに避難してきた」
(避難した住民)「夕方から風と雨がついてきたので、夜中はすごかったですよ、雷は鳴って」
一夜明け22日、あの男性を訪ねてみると後片付けに追われていました。
(冠水した先の住人)「床上まではいかなかったんだけれども、換気口から(家の)中に水が入って床下浸水ということで。水は引いたんですけれども泥が残っちゃって。水洗いしながら取るしかないなという状態ですね」
一方、十勝の浦幌町厚内地区では21日、橋が崩落…
泥水が住宅に押し寄せて床上まで浸水するなど、泥だらけになった家の中で後片付けをする住人の姿がありました。
(住人)「電気もなにもかも建物が壊れたわけでもない。ただこの家の中がこういうふうになっていただけだから。掃除したらどうにか住めるかなと」
道内初の線状降水帯の発生について、気象予報士はこの夏の猛暑の影響だと指摘します。
(上原諒気象予報士)「北海道の南の海水温が平年より3℃~5℃高い状態で、空気中に水蒸気が蒸発しやすい状況でした。そこにこの週末は低気圧が発達しながら道内を通過していきました。十勝から釧路の沿岸部に集中して雨雲を流れ込ませて豪雨をもたらした」
また、大雨だけではなく暴風による被害も…
新ひだか町では21日未明、住宅など8棟の屋根や外壁が壊れ、竜巻が発生した可能性もあるとして、気象台の職員が調査していました。
(気象台職員)「かなり風が強かったというところは明らかだと思います。それから現象自体はかなり局地的なものだというふうに考えています」
道によりますと、新ひだか町では暴風で割れた窓ガラスを踏んで2歳の男の子を含む3人が軽傷を負ったということです。
(けがをした男児の父親)「息子がガラスで足を切ったんですけれども。ドンと爆弾が落ちたような音がして、気づいたらもう部屋中ガラスまみれになっていました」
道内の広い範囲に大きな爪痕を残した今回の大雨や暴風による被害。
道内ではこれまでに降った雨の影響で地盤が緩んでいるおそれもあり、土砂災害などに引き続き注意が必要です。