農家は消費の冷え込み懸念も…今年の一皿は「お米グルメ」おにぎり専門店は値上げ踏み切る厳しい1年に
1年の世相を象徴する「今年の一皿」に「お米グルメ」が選ばれるなど、コメへの関心が高まる年となりました。
一方で、コメの価格は高止まりが続いて、おにぎり店やコメ農家は今後への影響に不安を募らせています。
宮城県産の新米・ひとめぼれ。
中がふんわりするよう握れば…「おにぎり」の完成です。
札幌市内のおにぎり専門店では、昼前から途切れることなく客が訪れていました。
(来店客)「自分でもおにぎり作りますけど、このようにうまく握れないし。おにぎりは大好きです」
(来店客)「ことし(コメが)高いよねみたいな、買い物行くたびに言ってるんですけど、なくてはならないもの」
おにぎりに欠かせないコメですが、この一年はコメ不足による高値に翻弄されました。
「令和のコメ騒動」とも呼ばれ、政府はコメの価格を下げようと随意契約による政府備蓄米を大量に放出するなど、コメに高い関心が集まりました。
こうした世相を反映して選ばれたのが…
(ぐるなび 滝久雄会長)「今年の一皿はお米グルメです」
ぐるなびが世相を反映した食として選ぶ「今年の一皿」に「お米グルメ」が選ばれました。
日本人の主食であるコメの存在感が改めて認識されたことなどが理由です。
そのコメの価格は備蓄米の影響で一時的に小売価格は5キロ3000円台で推移しましたが、その後再び値上がり。
2025年の新米が出回った後も4000円を超える価格で高止まりしています。
こちらの店でもコメの価格高騰で60円ほど値上げに踏み切る厳しい1年となりました。
店はワンコインのセットメニューの提供などで客離れを防ごうと工夫していますが…
(ありんこオーロラタウン店 澤崎千秋さん)「客足はちょっと減っているかなと実感としてある」
一方、コメ農家も複雑な心境に…
岩見沢市のコメ農家・町田光広さんです。
町田さんは50トンあまりの主食用のコメを出荷し、2025年の作業を終えました。
業者間の集荷競争の激化で、農協などから農家に支払われる概算金は60キロあたりで1万円ほど上がったといいます。
収益が増えた一方で、町田さんはコメの消費の冷え込みを懸念しています。
(町田光広さん)「安いコメしか買わなくなってしまうと我々が作っているコメがやっぱり購買対象にならない。これからほんとにどこの価格で落ち着くかということは生産者はみんな気にしてます」
高止まりが続くコメの価格。
米穀店などによると、春先から値段が下がる可能性もあるということですが、しばらくは家計への負担も続きそうです。