冬眠に向けて行動か「威嚇するような怖い声」体長2mのクマが男性襲撃 札幌市西区で警戒続く
9月26日に男性がクマに襲われた札幌市西区の公園周辺では、電気柵が設置されるなど警戒が続いています。
相次ぐクマの出没にはどのような理由があるのでしょうか。
(山本記者)「クマが公園に侵入するのを防ぐため、電気柵の設置が始まりました」
札幌市西区の平和丘陵公園です。
ハンターらが連日パトロールを行うなど、クマへの警戒が続いています。
(札幌市環境局環境共生担当課 清尾崇係長)「クマの足跡が2か所ほど確認できましたが、今回のクマと関連があるかはわからなかった」
9月26日午後8時ごろ、公園の近くでイヌの散歩をしていた43歳の男性がクマに襲われ、右腕にけがをしました。
(近所に住む人) 「獣の雄たけびみたいな、うおーみたいな、威嚇するようなすごい怖い声。(被害男性の関係者が)イヌを抱えて走ってきて、お巡りさんに右腕がどうのとか聞いていて」
クマが男性を襲った公園は、幼稚園や小学校も近い住宅街に位置します。
男性は公園で体長2メートルのクマ1頭と遭遇。
男性はクマに襲われたあと、近くの家に逃げ込みました。
(山本記者)「男性が襲われた公園のすぐそばの歩道には、男性のものでしょうか、血痕も残されています」
さらにその1時間後には、400メートルほど離れた場所で体長1メートルの子グマが目撃されています。
西区では10月25日までヒグマ警報が発出されていて、29日朝、付近の小学校では保護者に付き添われながら登校する児童の姿も見られました。
(保護者)「ゾッとしますよね、人を襲っているクマなので、早くどうにかしてくれたら」
札幌市によりますと、市内の住宅地で人がクマに襲われてけがをしたのは、2021年に東区で発生して以来だということです。
道内では2025年、クマに関する警察への通報件数は8月末時点で2689件と、過去10年間で最多のペースになっています。
その背景にあるとみられるのが、深刻なエサ不足です。
(札幌市環境局環境共生担当課 清尾崇係長)「今時期クマが食べるようなドングリですとか、木の実がほとんど見られなかった。山の中に食べ物がない状態、食べ物を探して歩き回っている可能性は高い」
なぜ、山にエサが少ないのかー
専門家は2025年の猛暑が影響していると指摘します。
(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「ことしのような猛暑によって植物の成長が早くなると、この時期に重要なドングリ・ヤマブドウ・サルナシが不作傾向。冬眠に向けて(クマが)食いだめをする季節になっていく。ことしの出没が多いのは、秋のエサ不足に対応してクマが早めに動いている結果だと思う」
人の生活圏に近づいているクマ。
札幌市はパトロールのほか、監視カメラを仕掛けて遠隔で監視するなど対応を続けることにしています。