「筋ジストロフィー」と生きる大学生 進学で広がる新たな世界 家族の支え胸に…挑戦続ける18歳のいま
「できることを探して全力で取り組む」と決意を語りました。
難病を患いながらもこの春、大学に通い始めた男性がいます。
その挑戦し続ける姿を追いました。
進行性の難病「筋ジストロフィー」の大学生…友人との時間が大学生活の楽しみ
(友人)「誕生日何月?」
(和田輝政さん)「9月」
(友人)「ちょうど夏休み明けた後くらい」
和田輝政さん18歳。この春、大学生になりました。
(友人)「はい、いける?」
(和田輝政さん)「初めて食べた」
(友人)「いろいろおすそ分けしたいけど大丈夫なのかなって疑問だった」
(和田輝政さん)「何でもください」
(友人)「何好きなの?甘いものは?」
(和田輝政さん)「わりとしょっぱいもの系。コマイとか、魚干したやつ」
大学生活の楽しみは、新たにできた友人との何気ない会話です。
「経営学」学んで将来は経営者に…その挑戦を続ける理由は
筋肉が次第に衰える難病「筋ジストロフィー」を患う輝政さん。
頭を下げる体勢が難しいため、講義中は上にあるモニターを使います。
大学に入って学びたかったのは「経営学」だといいます。
(和田輝政さん)「すごく楽しく充実した日々を送れています。楽しいです。友達もいますし。今後も人々とつながりを築きつつ、経営にまつわる技術を習得して経営者を目指せたら」
5歳で診断「筋ジストロフィー」人前に出るのが嫌だった過去…それでも
幼少期の輝政さんはうまく歩くことができませんでした。
5歳の時に「筋ジストロフィー」と診断され、病気の進行とともに車いすや人工呼吸器を使うようになりました。
(和田輝政さん)「なるべく気にしないように生きてきたつもりではありますけど、昔はちょっと気にしていた部分があったかも。人工呼吸器をつけてから一気に人前に出るのが嫌になっちゃった」
養護学校に通う高校時代 恩師が人生を変える
それでもー
私たちの取材に応じてくれたのは2026年の冬。
入院しながら養護学校に通う高校生でした。
(和田輝政さん)「あんまり若々しいファッション似合わないと思うけど」
(田中貴志先生)「そんなことないよ。今まで病院だったからあまり洗濯できなかったかもしれないけど…」
養護学校で出合った田中貴志先生です。
新たな世界を教えてくれたといいます。
(和田輝政さん)「田中先生のおかげ。(学校行事のとき)『うまいね』って。もともとドラム、打楽器は自分には適していたので、受験の間、精神的に疲れたときもあったので、そういうときも支えてくれたので、すごく大きな存在です」
恩師が教えたドラムで切り開く未来
田中先生のピアノに合わせてタブレットを指でたたいてドラムを奏でます。
(和田輝政さん)「中指を基本的に使っている。中指が曲がってしまうんです。それを親指でカバーして、こうやって支えてたたく感じ」
田中先生が、体が動かなくても音楽を楽しむことはできる。そう教えてくれました。
一時は人前に出るのが苦手でしたが、今ではライブ活動を続けるようになりました。
大学進学を機に「一人暮らし」…24時間体制でヘルパーや医療従事者が支える挑戦
大学生になって挑戦したかったこと、それは「一人暮らし」です。
24時間体制でヘルパーや医療従事者の支えが必要です。
(和田輝政さん)「呼吸介助です。呼吸に合わせて胸を押すことで肺をかたくしないようにする」
(理学療法士)「絶対に必須ですね」
(和田輝政さん)「これは命に直結します。毎日やらないと進行していく。進行性の病気なので、リハビリで抑えていかないと弱ってしまうので必要です」
「かけがえのない存在」父の応援を受け続ける挑戦
十勝の音更町で暮らす父の賢さんです。
輝政さんの自立を応援しています。
(父・和田賢さん)「野菜食べなよ…食べてる?」
(和田輝政さん)「うん、きのうは」
(父・和田賢さん)「今はいろんなもの食べられて良いでしょう、病院よりは。食べたいものが食べられるし」
輝政さんは改めて家族や周りの支えに気づかされたと話します。
(和田輝政さん)「家族がいるからこそこうした生活が成り立っているし、やりたいことも実現できている。たくさんサポートや支援をもらっているので、本当にありがたいと思っている。かけがえのない存在」
大学卒業後の自立を見据え…憧れる父の挑戦
この日、輝政さんは開店準備中のある店を訪れました。
(父・和田賢さん)「ここがお店です」
(和田輝政さん)「はい、どこがどこになるのこれ?」
輝政さんの父親が経営するアンテナショップです。
実家は音更町で飲食業などを営んでいて、8月に札幌で十勝の食材や加工品を提供する店を始めました。
(父・和田賢さん)「彼は経営の勉強もしていますし、こうやって実際に店が立ち上がるところも見てもらいますし、卒業後は経営にも関わってもらいたいなって」
十勝産の肉を使った商品のパッケージ。
デザインは輝政さんが担当しました。
表情豊かな牛や豚などのイラストが加工品にいろどりを添えます。
(父・和田賢さん)「親の背中を超えていかないとな。ちょっと大きい背中にしとくわ、簡単に乗り越えられないように。頑張って踏み越えていって」
ふるさとでのライブ…勇気を伝えるドラマー
(和田輝政さん)「こっちに帰って来た方が安心感あります」
夏休み、輝政さんが向かったのは半年ぶりのふるさとです。
地元の書店でライブが決まっていました。
田中先生ももちろん一緒です。
集まってくれた人たちが温かく迎えてくれました。
自分で世界を広げていく息子の姿を、父の賢さんは優しく見守っていました。
(父・和田賢さん)「サポートできる分野でサポートする。あとは自分の分野でやれることが増えるといい」
「周囲に助けられたからこそ勇気を伝えたい」続く輝政さんの挑戦
(和田輝政さん)「できない中でもできることを探して全力で取り組む姿が伝わってほしい。勇気とか希望とかそういう気持ちを持って、こんな体でも問題なくできる、勇気を伝えたい」
周囲に助けられてきたからこそ、誰かの役に立ちたい。
その思いを胸に、輝政さんの挑戦は続いていきます。
