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地域密着も厳しい経営 “いさ鉄”開業10年 JRから経営分離した鉄路の未来 道南いさりび鉄道

北海道新幹線の開業と同時に誕生した「道南いさりび鉄道」が、3月で10周年を迎えます。

「いさ鉄」の愛称で親しまれ、住民の生活を支えてきましたが、厳しい経営が続いています。

JRから経営分離した鉄路の未来を探ります。

「函館と繋げてくれる存在」通学に欠かせない路線

雪煙を上げながら走る列車。

道南いさりび鉄道です。

木古内と五稜郭を結ぶ37.8キロの区間を、毎日34本の列車が走っています。

まだ薄暗い午前6時すぎ、木古内駅を出発するいさ鉄の始発列車です。

次々と乗り込むのは地元の高校生。

列車に乗っておよそ1時間、さらにバスや電車を乗り継いで函館市内の高校へ通います。

この日は15人が乗車し、函館へと向かいました。

(記者)「朝何時に起きている?」

(高校生)「5時です」

(記者)「朝早いよね、平気?」

(高校生)「眠いです」

早朝、車内での貴重な1時間。

朝ごはんを食べたり、参考書を開いて勉強を始めたり。

過ごし方はそれぞれですが、毎日利用する「いさ鉄」に高校生たちは愛着を感じています。

(高校生)「いさ鉄ないとやばいよね」

(高校生)「助かる」

(高校生)「助かります。なくなってほしくないです」

(高校生)「函館と僕たちを繋げてくれる存在というか、遊びに行くときも、中学生の時とか使っていたので」

(高校生)「かけがえのない存在ですね。なくなったら困る本当に。日常の一部」

そのあとも次々と高校生が乗り込み、車内はいっぱいに。

通学には欠かせない大事な路線です。

JR北海道から経営分離 毎年2億円ほどの赤字

2016年3月、北海道新幹線開業と同時に誕生した「道南いさりび鉄道」。

JR北海道から経営分離された並行在来線を引き継ぎました。

第三セクターが運営し、沿線住民の足として暮らしを支え続けています。

開業から10年、通学客が去った後の列車を見てみるとー

(東海林記者)「昼間の時間帯ですが、利用客の姿はまばらです」

利用客は少なく、駅は閑散としています。

これは1日当たりの輸送人員です。

開業した2016年度の1988人をピークに減少。

沿線自治体の人口が減る中、ここ数年は1400人台と横ばいとなっています。

収入の多くは、同じ区間を走る貨物列車の線路使用料に頼っています。

それでも、毎年発生する2億円ほどの赤字を道と沿線自治体が補填する厳しい経営が続いています。

道南いさりび鉄道の春井満広さんです。

この10年、地域に愛される鉄道を目指してきたといいます。

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「赤字でもこの鉄道が必要なんだって感じていただける、皆さんが思っていただける取り組みというか、かかわり方を大事にしてきたところです」

オリジナルグッズも 沿線の魅力を列車の旅に…

その取り組みのひとつが、観光列車「ながまれ海峡号」です。

函館と木古内をおよそ4時間かけて往復する貸切列車の旅。

地元の旬の食を味わうことができます。

さらにー

(講談師)「せっけんを作って榎本人気が箱館を席巻した。ですがその人気もいくさに敗れて泡と消えたと、こういうわけでございまして。あんまりうけませんでした、すみません」

車内で楽しめるさまざまな企画を展開。

地域住民が乗客と触れ合いおもてなしをするなど、沿線の魅力を列車の旅に詰め込みました。

ほかにも、アツアツのおでんを楽しむおでん列車や、地元のワインを飲み比べる「ワイン列車」などの運行も手がけてきました。

駅の売店に並んでいるのは、いさ鉄のオリジナルグッズです。

車両型のペンケースに、車両をデザインした靴下は“鉄下”として販売。

いさ鉄のPRに一役買っています。

インバウンド誘致へ ツアー客が貸し切りも

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「皆さんこんにちは、道南いさりび鉄道です」

いま力を入れているのが、インバウンドの誘致です。

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「皆さん道南いさりび鉄道は聞いたことありますか?」

いさ鉄の春井さんは2025年に台湾を訪れ、旅行会社などにいさ鉄をPR。

函館との直行便もあり、手ごたえを感じていました。

そして、5月には台湾からのツアー客がいさ鉄の車両を貸し切り、鉄道の旅を楽しむことになったのです。

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「現時点では20本申し込みをいただいていまして、10本確定の連絡をいただいているところです」

(記者)「まだ増えるかもしれない?」

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「まだ募集はかけていると聞いているので、まだまだ増えそうですとの回答もいただいているところ」

“地域と二人三脚” 「いさ鉄」のこれから

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「受験生?どうぞ、頑張ってください」

この日、五稜郭駅に到着した受験生に声をかける春井さん。

配っていたのは、応援メッセージが書かれた栄養補助食品です。

日ごろからいさ鉄を利用する受験生に、感謝と応援の気持ちを込めました。

(受験生)「うれしい。がんばろうと思います」

(受験生)「元気出ました」

(道南いさりび鉄道 春井満広企画営業課長)「沿線地域の皆さんと一緒になって、地域に愛される・親しんでもらえる地域鉄道にこれからも成長していけるんじゃないか。(地域と)二人三脚で歩んで行ければと思っております」

地域の足としてスタートした「いさ鉄」の10年。

厳しい経営が続くなか、より魅力ある鉄道を目指し走り続けます。

03/08(日) 13:21

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