“四つん這いのクマ” 町民がガラス越しに目撃 痕跡や出没相次ぐも捕獲に至らず 男性死亡の北海道福島町
北海道福島町で7月12日、新聞配達中の男性を襲ったクマは依然として発見されていません。
町内では14日も新たなクマの痕跡が次々と見つかり、厳戒態勢が続いています。
(東海林記者)「こちらはスーパーのゴミ置き場です。扉が大きく壊れています。クマが体当たりしたとみられています」
大きくへこみ、歪んだドア。
中が空っぽになっていますが、13日まで店から出た生ゴミが入っていました。
福島町三岳にあるスーパーマーケットでは午前8時ごろ、出勤した店長がごみ置き場が荒らされているのを発見しました。
店によりますと、ごみ置き場の中には2日分の生ごみが入っていました。
午前5時ごろ、搬入業者が「駐車場にクマがいるのを見た」と話していたということです。
店は14日から閉店時間を1時間前倒すことを決めたといいます。
(北本アナウンサー)「草木が刈りとられ、見通しが比較的よくなっています」
12日午前3時ごろ、福島町三岳の住宅街で、新聞配達中の佐藤研樹さん52歳がクマに襲われ死亡しました。
クマは1.5メートルほどで、佐藤さんをおよそ30メートルほど離れた藪の中まで引きずったということです。
(通報者)「うわーと叫び声が聞こえて、窓を見たらクマが人を引きずって振り回していて、そのまま茂みに入っていってという感じ」
現場では午前10時半ごろから専門家が調査に入り、体毛などの採取や当時のクマの行動について詳しく調べられています。
人を怖がらず人の前に出没するクマ。
佐藤さんが襲われる数日前には、町内の住宅街の草むらを走り抜けていく様子が目撃されました。
それ以降もー
(吉岡記者)「ハンターが山の斜面を照らしてクマを探しているんでしょうか、非常に緊迫した空気が流れています」
13日午後9時すぎには、パトロール中の警察官が福島中学校付近で歩いている1.5メートルほどのクマを発見しました。
そしてー
(吉岡記者)「昨晩クマが目撃された付近です。生ごみを入れるコンポストがこのように横倒しになっており、クマの爪の跡でしょうか、はっきりとついているのが分かります」
14日朝に目撃された付近の住宅の庭では、コンポストが荒らされてクマのものらしき爪痕がー
(発見者)「こんな感じでありました」
(吉岡記者)「中身は何が?」
(発見者)「ウニの殻ですよ。臭いがするんです。怖いですよ」
(北本アナウンサー)「さらにこちらの住宅にも13日夜、クマが現れ、住民がガラス越しに目撃したということです」
手形がはっきりとついたドアの網戸。
13日午後9時過ぎ、コンポストが荒らされた畑から20メートルほど離れた住宅にクマが現れたのを住民が目撃していました。
(住民)「座っているような四つん這いになっているというか。1日でも早く戻ってほしい」
14日に新たに見つかった痕跡を含め、町内の住宅街ではクマの目撃情報が相次いでいます。
7月12日午前3時ごろ、新聞配達中の佐藤研樹さんがクマに襲われ亡くなりました。
その3日前、7月10日には住宅街の草むらを走る様子が目撃されていました。
13日午後9時ごろには、パトロール中の警察官が福島中学校付近を歩くクマを目撃。
さらに13日午後10時ごろ、住民の方が自宅のガラス越しにクマを目撃しています。
そして14日午前8時ごろ、スーパーマーケットの店長がごみ置き場がクマに荒らされているのを発見しました。
店長によると、搬入業者が午前5時ごろにクマがスーパーの駐車場にいるのを見たと話していたということです。
不安が募る中、小学校などでは保護者による見守り登校が行われていました。
(保護者)「公園の方に(クマの)足跡とかがあったのでちょっとやっぱり不安です。本当に捕まってほしいなって気持ち」
(保護者)「ここに住んでいていいのかなって感じですよね。外からに出られる状況じゃない」
専門家は、クマが市街地に食べ物があると学習している可能性を指摘します。
(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「過去に人を襲ったり人を食べる、例えば死体を発見して食べた経験があるとか、何らかの人に接近する学習をしていた可能性がある」
いまだ姿が見つからず駆除に至らないクマ。
道は12日から1か月間、制度ができてから初めてとなる“ヒグマ警報”を福島町内全域に発出し、警戒を強めています。