備蓄米の「随意契約」による売り渡しについて、小泉進次郎農林水産相は５月２６日に詳細を発表しました。

早ければ６月上旬にも５キロあたり２１６０円のコメが店頭に並ぶとしていますが、北海道内の小売業者や生産者はどう受け止めたのでしょうか。

（小泉農水相）「一般的なマージンを踏まえて試算すれば、小売り価格では５キロあたり２０００円程度となる水準です。早ければ６月上旬にも店頭に並べることができる」

小泉農林水産相は２６日、「随意契約」による政府備蓄米の売り渡しについて、詳細を発表しました。

売り渡しの対象は、見込みも含め年間１万トン以上の取り扱いがある大手小売業者です。

売り渡し数量は３０万トンで、買い戻しは求めないとしています。

売り渡し価格は６０キロあたり１万１５５６円で、店頭価格では５キロあたり２１６０円程度を想定しています。

申し込みは２６日からで、小売り業者には８月までに消費者に行き渡る分を申し込むように求めるとしています。

（小泉農水相）「決してこれ以上の価格高騰を、高止まりをさせず、米離れを防ぎ、もって農水省の責任を果たしていく、そのためにどうか皆さんの力を貸してください」

これまでの「競争入札」では、高値を提示した集荷業者が落札するため「値段が下がらない」という指摘がありました。

一方、「随意契約」だと政府が予定価格を定めた上で小売業者を選ぶため、「競争入札」より安い価格で流通できるとみられています。

（小泉農水相）「おはようございます。よろしくお願いします」

２４日に札幌を訪れた小泉農林水産相。

小売業者などとの意見交換会で、コメの価格引き下げに強い意欲を示していました。

（小泉農水相）「契約完了次第２０００円で（店頭に）並べられるような価格で提供したい。小売りの現場の声を忌憚なく学ばせてもらい、スピード感を持ったコメの流通と価格の適正化を実現していきたい」

道内のスーパー大手「アークス」の横山会長は、意見交換会後に随意契約での仕入れについて前向きな考えを示しました。

（記者）「随意契約に声がかかったら？」

（アークス　横山清会長）「やりますよ。いかに健康で安心安全なものを納得価格で供給できるか。これがいま一番大事なこと」

こうした中、道内の消費者はどう受け止めたのでしょうか。

（買い物客）「どういう流通になっているかはわからないが、値下げしてくれれば。絵にかいた餅にならなければいいと思っている」

一方、今回の備蓄米は大手小売業者が随意契約の対象となりますが、規模の小さいスーパーはどう感じているのでしょうか。

（クーリッチ拓北店　高西邦明社長）「実際にいま現在、備蓄米というところでも大手がある程度ものを持っている。小さいところはほとんどない」

この店では月に必要なコメが確保できておらず、今回の措置も恩恵はないとみています。

（クーリッチ拓北店　高西邦明社長）「客の手元にもっと届けたいが数がないのが残念。もっとほしいですね」

空知の妹背牛町でコメを生産する長谷さんは、以前のような低価格に逆戻りしてしまうことに不安を感じています。

（コメ農家　長谷浩幸さん）「昔の米価に戻ると、今度こそ生産者がどんどんやめていくような環境が生まれるのではないかと危惧している」

コメの政策に詳しい専門家も、業者選定の公平性の問題を指摘するとともに、精米機を持っていない小売業者への負担が増える可能性があるといいます。

（酪農学園大学　相原晴伴教授）「今回は政府が小売業者に直接販売するということで、玄米で販売するが、小売業者は精米機を持っていないことが普通なので、卸売業者に精米を委託するというような、事務的な手続きが煩雑になるということは考えられる」

随意契約はさまざまな課題を乗り越え、コメの価格を下げられるのか。

今後の小泉大臣の実行力が道内でも注目されています。