生産者も消費者も店も怒り 前農水大臣が辞任 コメ価格下がらず…備蓄米が流通しない理由とは
「コメは買ったことがありません。支援者からもらって売るほどある」
コメの政策を取り仕切るトップ・江藤農林水産相がこうした失言により事実上の更迭となりました。
高止まりが続くコメの価格。
課題となっている備蓄米の流通は今後どうなるのでしょうか。
一面、水田が広がる空知の妹背牛町です。
コメの供給量が全国的に注目され、道産米にも期待が高まる中、コメの政策を取り仕切るトップの発言に耳を疑いました。
(農家 長谷浩幸さん)「コメの価格を知らないっていうことをわざわざ自分で言っているという風に捉えた。江藤大臣の人間性というのを疑ってしまう。浮世離れしたところを感じ取れたので残念」
(辞任した江藤農水相)「私もあの、コメは買ったことがありません。支援者の方々がたくさんコメをくださるので、もうまさに売るほどあります。私の家の食品庫には」
問題になったのは、備蓄米の流通について、精米せずに玄米のままであれば加速できるという趣旨の話をしていたときの発言です。
江藤農水相は石破首相に辞表を提出、事実上の更迭となりました。
(金澤記者)「札幌市のスーパーです。店頭にはずらりとコメが並んでいるが、価格は去年の同時期と比べ2倍以上になっているということです」
5月19日に発表された最新のコメの平均価格は前の週より54円値上がりし、5キロ当たり4268円。
過去最高値を更新しました。
辞任した江藤大臣の発言には消費者も店もあきれ顔です。
(買い物客)「あれを聞いたときはびっくりしたし、本当に庶民とはかけ離れた方が政治家なんだなと思った」
(買い物客)「次の大臣に期待するのは、コメの価格を下げることですね」
(キテネ食品館 中塚誠社長)「コメの価格が昨年より2倍くらい上がっていて、客が困っている中で「売るほどある」という表現は、一般的な感情でいうと、なんてことを言うんだと」
これまで3回で合わせて31万トンもの備蓄米が放出されてもなお下がらないコメの価格。
専門家は、一気に大量に放出したことが流通が滞っている要因と指摘します。
(北大大学院農学研究院 東山寛教授)「もともとは玄米ので保管されていたものを倉庫から引っ張り出して、精米業者に渡して精米してもらって小売で販売するときにはブレンドして、複数原料米という表示で、さらにそれをまた袋詰めしてスーパーに届けるというものすごい面倒くさい作業が必要。通常の業務に加えてそれをやっているので、備蓄米の放出をしているけど消費者の手元に届いていない。まさにそこが目詰まりを起こしている」
石破首相は後任に小泉進次郎元環境相の起用を決め、「消費者に安定した価格でコメを供給できるように取り組みを推進すること」などを指示しました。