魚離れのなかアイデアで勝負 女性たちが営む鮮魚店 従来のイメージにとらわれない店づくり 北海道
日本人の魚離れが進む中、一人の女性が鮮魚店をオープンしました。
時期に合わせた魚を提供し、従来のイメージにとらわれない店づくり。
女性ならではのアイデアを取り入れた狙いとはー
スタッフ全員が「女性」の鮮魚店 女性ならではの視点が店内に
いまが旬!道東の羅臼沖で獲れたサケに…
店頭には新鮮な魚が所狭しと並びます。
(客)「安い、これも一つ」
(山口なつきさん)「いらっしゃいませ」
明るい声で客を迎えるのは、2026年1月にオープンした「魚やのごひいき」です。
1階は鮮魚店を展開し、2階では定食を楽しむことができます。
店を切り盛りするのは、山口なつきさん36歳。
(山口なつきさん)「これはホッケですね。北海道産の真ホッケです」
山口さんが干したホッケを高温で焼き上げます。
魚のあらを使ったみそ汁と、昆布出汁をとって炊いたご飯がセットになった「ホッケ定食」は店の看板メニューです。
(客)「でかい。うまそう」
(客)「醤油をかけた方がうまいのかと思ったけど、そのままでもうまい」
(客)「最近なかなか見ないので、ツボダイが食べたくて。おいしいです!」
大人だけではありません。
(子ども)「おいしいです」
(記者)「お肉とお魚どっちが好き?」
(子ども)「お肉の方が好き」
昼どきには多くの客で賑わう店ですが、人気の理由はほかにも…
(客)「女性だけでやっているの?」
(山口なつきさん)「そうです、そうです。働きますか?」
(客)「話しかけやすいので、いろいろおいしいよとか言ってくれて、ついつい買いすぎてしまいます」
(客)「みなさん明るいし、店の雰囲気もいいので」
店主の山口さんだけでなく、スタッフも全員女性です。
その理由がー
(山口なつきさん)「鮮魚店ってちょっと敷居が高いイメージがあると思うんですよね。女性メインで鮮魚店をやることによって、たくさんの方が足を運んでくれる鮮魚店ができるんじゃないのかなと」
こちらはサンマの南蛮漬け。
商品づくりにもこだわります。
おにぎりや手作りの惣菜など、食卓や弁当に使えるメニューを提供しています。
(子ども)「これはマグロのどこですか?」
(スタッフ)「これはマグロのカマだから…」
(山口なつきさん)「カマはこっちじゃない?もうないわ」
(スタッフ)「ない、ここの部分だって」
(子ども)「そこらへんか、お腹の部分か」
魚売り場の横には駄菓子コーナーやキッズスペースを設けています。
子どもたちが遊んでいる間にお母さんたちはゆっくり買い物をー
女性ならではの視点が店内に生かされています。
子どもたちの“魚離れ”を感じ…店を営むことを決意「おいしい魚の食べ方をただ知らないだけ」
山口さんは夫と娘2人の4人暮らし。
店に家事にと忙しい一日を過ごしていますが…
(山口なつきさん)「毎日楽しいですよ。おいしそうっていう顔を見ていたら、やっぱりやってよかったなと思います」
祖父母が水産加工会社を経営していたこともあり、幼いころから魚をよく食べて育った山口さん。
大学卒業後は保育士として働いていましたが、目の当たりにしたのが“子どもの魚離れ”でした。
(山口なつきさん)「やっぱ肉が好きみたいな。でもみんなお寿司は好きじゃないですか。だからおいしい魚の食べ方をただ知らないだけかな」
実際に、日本人の魚の消費量は減少傾向が続いています。
2001年度にはおよそ40キロあった一人当たりの年間消費量は、この20年あまりでその半分近くまで落ち込んでいます。
山口さんは魚離れが進む現状に危機感を抱き、店を営むことを決意しました。
(夫・圭太さん)「魚屋さんをやるって言ったってどうやってやろうってね、もう不安だらけ」
(山口なつきさん)「何が必要でとかあれが必要でとかもわかんないままやった。けどまわりの優しい人たちがたくさん支えてくれて、本当にいろんな人に支えてもらっていまがある」
(山口なつきさん)「この子たちが大人になった時に、魚に携わる方が少なくならないように。魚っておいしいよねって一人でも多くの子どもに思ってもらいたいなと思って」
鮮度と価格を見極める目利きが必要「わからないままにしない」
午前5時半…。
山口さんと仲卸業者さん
(山口なつきさん)「おはようございます!ホッケ欲しいです」
山口さんの1日は、早朝の仕入れから始まります。
(仲卸業者)「キズはそれほどでもない」
(山口なつきさん)「焼く…」
(仲卸業者)「焼く用なら(問題ない)」
(山口なつきさん)「ね」
仕入れの現場では、鮮度と価格を見極める目利きが必要です。
この知識を身につけるには苦労もあったといいます。
(山口なつきさん)「わからないことはわからないままにしないで、ちゃんと正直にこれって何なんですかとか、それってどういうことですかって聞くようにしています」
(仲卸業者)「食うか?」
(山口なつきさん)「食べたいです!」
日々、市場に通うことで人との関係を築いてきました。
それが山口さんの財産となっています。
(うおや 勝山徹一店主)「魚に興味が強いってことがやっぱり(市場の)みんなに伝わる。なかなか筋のいい子です」
営業の合間にある場所へ向かった山口さん。
(山口なつきさん)「お魚届けに来ました。お魚届けに来たよ」
札幌市内のこども園です。
もっと魚の味を楽しんでもらいたいー
山口さんは、子どもたちに提供できないか、園に声をかけました。
(こども園・ひかりのこさっぽろ 今野路子園長)「山口さんの方から飛び込みで連絡が来まして、それで魚をぜひという話をいただきました。子どものうちにおいしい魚を食べて魚を好きになってほしいという気持ちがあって」
この日のメニューはホッケのチーズ焼きです。
(子ども)「このお魚ほんと大好き」
(記者)「魚はどうだった?」
(子ども)「おいしかった!」
魚のおいしさは子どもたちにもしっかり伝わったようです。
(山口なつきさん)「昔ながらの和食を、子どもたちの世代が大きくなった時にも当たり前にあるような、それが途絶えないように頑張っていきたい」
魚離れが進むいまだからこそ、山口さんはこれからも魚の魅力を伝えます。
