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選挙とSNS…真実はどこに?海外ではフェイク画像の拡散も 情報に振り回されないためには

【候補者を見る】改選3議席の北海道選挙区に、12人が立候補

いま、選挙や政治活動でSNSの影響力が高まっています。

ネット上にあふれる情報に、私たち有権者はどう向き合えばよいのでしょうか。

「SNSと選挙」の関係を考えます。

公示日の街頭演説 スマホを向ける人たち…いわゆる「政治系ユーチューバー」

参議院選挙の公示日。

札幌市内で街頭演説をする候補者にスマートフォンを向ける人たちがいました。

そのうちの一人に話を聞くとー

(記者)「撮影したものは何に使う?」

(政治系ユーチューバー)「ユーチューブかXの動画で使いたいと思って撮影していた。ユーチューブチャンネルを持っていて“底辺ユーチューバー”ですね」

彼女はある政党の演説などをSNS上で配信する、いわゆる「政治系ユーチューバー」です。

普段は専業主婦の女性。

候補者の主張に共感し、2か月前からユーチューバーとして活動を始めました。

ただ、目的は収益化ではないといいます。

(政治系ユーチューバー)「一人でも多くの人に応援する候補者を知ってもらって、少しでも応援する人が増えてくれればいいという小さな応援です」

副業として収益化する「切り抜き系ユーチューバー」 誇張した表現使った経験も

一方で、副業として収益をあげているユーチューバーも。

(世間を賑わすニュースあれこれ運営 林さん(仮名))「切り抜きチャンネルを始めてからはあっという間に次の月には(月収)10万円、20万円、30万円、40万円、どんどん伸びていって、最高月収80万円くらい」

林さんはネットで配信される政党の会見などを切り抜いて投稿する、切り抜き系ユーチューバーです。

(世間を賑わすニュースあれこれ運営 林さん(仮名))「ニュースでどういったものがランキングに上がっているか、そういったものをチェックして(動画の)コメント欄を確認して、注目ポイントはどこなのかっていうのを最初にチェックしますね」

コメント欄の盛り上がりなどを参考に、注目の会見の中でもさらに注目の部分を切り出し。

テロップやナレーションをつけて10分ほどの動画にまとめます。

特定の政党の主張を広めるためでなく、視聴者に広く政治に関心を持ってもらうため、活動していると話す林さん。

しかし、一時期は再生数や収益を上げることに熱中するあまり、動画の中で誇張した表現をしてしまった経験があるといいます。

(世間を賑わすニュースあれこれ運営 林さん(仮名))「ちょっと感情的になって怒ったかな?っていうところを“マジギレ”とか“ガチギレ”とか。過激なワードを使っていかないと再生数が保ちづらいということになっているので。この春くらいにこの傾向は嫌だなと思ってそういうことはやめた」

(記者)「収益への影響は?」

(世間を賑わすニュースあれこれ運営 林さん(仮名))「3分の1とかですね」

過激な表現を使うほど、再生数や収益が上がりやすいと実感した林さん。

自身の経験から、こう警鐘を鳴らします。

(世間を賑わすニュースあれこれ運営 林さん(仮名))「どんどん政治チャンネルが増えていって、後から入ってきた人はどんどん過激なワードになっていく。再生数をとるために都合のいい組み合わせ(編集)をするチャンネルも最近増えてきたので。YouTubeをはじめ、SNSでバズったものを(簡単に)信用しないようになっていただきたい」

ニセ情報の選挙利用が増加 参院選での対策は?

ユーチューブをはじめとするSNSの情報はいま、選挙結果にどの程度影響しているのでしょうか。

(北海道大学公共政策大学院 山崎幹根教授)「昨年の衆議院議員選挙や兵庫県知事選挙というのを振り返ると、やはり一定の影響力があるというのは間違いないでしょう。SNSの影響力というのは無視できません」

SNSの影響力が増していく中、懸念されるのが偽の情報の選挙利用です。

6月に行われた韓国の大統領選ではー

テレビ討論中、突然髪をつかみ合った大統領選の候補者。

ネット上で拡散された偽の動画です。

画面中央の白い線で途切れていた腕が、突然伸びて境界線を飛び越え、髪をつかむ手も不自然な形に。

この時の実際の映像を見ると、手を伸ばしても届かないほど距離が離れていました。

韓国の大統領選では偽の動画が急増。

削除要請された動画の数は、2024年4月の総選挙のおよそ27倍、1万件以上にものぼります。

偽の画像や動画をどのように見分けるのか。

その判別方法を取材するとー

(記者)「写真をもとに映像を作り出すということです」

撮影した写真を、演説する人物の写真と生成AIを使って合成。

するとー

笑顔で指をさし、人々を前に演説する記者の偽画像に。

これを特別なプログラムにかけると…数秒で「フェイク」と判定。

“99パーセント以上偽物”と表示されました。

大統領選では、特別対策本部の職員たちがこのプログラムなどを使い、韓国全土で偽の動画などを監視していたといいますがー

(韓国中央選挙管理委員会 主務官)「毎日毎日新しいものがアップロードされているため、すべて広範囲にモニタリングするのが困難だというのは事実です。偽動画などはどうしても視覚的に有権者を混乱させる可能性が高く、誤った情報が広がりやすいんです」

こうしたSNS上の偽情報に対し、参院選ではどう対策がとられているのでしょうか。

(北海道選挙管理委員会 山下正人さん)「先日総務省で、参議院議員選挙における偽・誤情報などについて、SNS事業者に対しての対応を要請しているところです。道選管としては、高校生向けの選挙啓発出前講座を実施して、SNSの接し方などを周知していきたい」

道選挙管理委員会も対策に乗り出してはいますが、打開策は見い出せていません。

山﨑教授はSNSの情報に踊らされない姿勢が必要だといいます。

(北海道大学公共政策大学院 山崎幹根教授)「(SNSの情報が)唯一絶対の真実だというふうに見るのではなくて、あくまでも参考程度として、エンターテイメントの一種として受け止める程度の姿勢が求められている。チラッとでいいのでオールドメディア(テレビ・新聞)の類であるとか、あるいは選挙公報の類を紙で見てみるというようなことを含めて、バランスよく情報を取捨選択していってほしい」

選挙の際にSNS上にあふれるさまざまな情報。

私たち有権者も正しい情報を見極めることが大切です。

07/19(土) 08:31

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