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「理由はクマですか?」死亡事故が影響…“客が激減”の観光施設も 問われる人とクマの距離…羅臼岳

北海道・知床の羅臼岳で、登山をしていた男性がクマに襲われ死亡してから1週間が経ちました。

知床には多くの人が訪れる一方、打撃を受けた観光施設もあり、人とクマとの適切な距離感を探るための試行錯誤が続いています。

知床五湖を一望できる高架木道です。

大勢の観光客が写真を撮るなどしてリラックスした雰囲気にー

(東京からの観光客)「思った以上きれいで広くてすごかった」

(宮城からの観光客)「動物が普通に道を歩いているのでびっくりしました。シカとキツネ、あとクマもいました」

大自然・知床の魅力を口々に語る一方、こんな声もー

(神奈川からの観光客)「事故があったので…ちょっとどうしようかなとも思ったんですけど、ここ電気柵があるということでここまではと思って」

(武田記者)「こちら羅臼岳の登山道へ続く道路なんですが、事故から1週間経っても閉鎖されたままです」

羅臼岳では先週14日、東京の会社員・曽田圭亮さんが友人と2人で下山中にクマに襲われて死亡する事故が発生。

曽田さんは友人から離れ、200メートル先を単独で走っていたところ、クマと遭遇していたことが道の調査でわかりました。

同じ日、羅臼岳周辺では親子グマ3頭が道路を歩く姿が捉えらていたほか、8月に入ってからクマが登山客につきまとう事案もあり、警戒を強めていた矢先の出来事でした。

曽田さんの遺体は翌15日に現場近くで見つかったほか、ハンターがその付近で曽田さんを襲った親子グマ3頭を駆除。

曽田さんはクマ鈴は持っていましたが、クマスプレーは所持していなかったとみられています。

知床の夏は観光シーズンですが、事故の影響を受けた施設もー

(管理人 江刺隆夫さん)「8月14日以降、入る人数が激減しています。理由はクマですかって聞いたらだいたいほぼそうです」

こちらの野営場は山側全体を電気柵で防護していますが、利用者は例年の半減に。

こうしたクマによる人身事故を受けて、道は21日にヒグマ対策関係者会議を開き、7月に道南・福島町で発生した事故に触れました。

(山本記者)「いま大きな銃発音が鳴り響きました。住宅街に銃声が鳴り響きました」

7月12日に福島町の住宅街で新聞配達中だった男性がクマに襲われ、死亡した事故。

(渡島振興局の担当者)「北海道としての電気柵と自動撮影カメラの設置支援というものを実施してございます。今回は電気柵の設置以降、市街地内におけるヒグマの出没についてはゼロにすることができた」

クマが身を隠しやすい草藪の刈払いしたほか、住宅と山との間に電気柵を設けるなどの対策を進め、一定の効果を上げているといいます。

道内で相次ぐクマによる人身事故。

人とクマの適切な距離をとるための対策が一刻も早く求められます。

【対策会議での報告】

21日に道が開いた対策会議の報告で、羅臼岳での死亡事故について新たにわかったことがありました。

・事故直前まで、襲われた男性は友人と離れ、先行して1人で走っていた

・クマと遭遇したと思われる場所は、カーブした、見通しの悪い、道幅の狭い登山道だった

・駆除されたクマは、母グマが体長140センチ体重117キロ。子グマはメスとオスの2頭で、メスの子グマは72センチ、オスの子グマは71センチ、体重はいずれも17キロだった

およそ1か月でクマに襲われた死亡した事故が相次ぎ、早急に対策が必要となります。

08/21(木) 19:00

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