100年以上の時を経て…アイヌ民族の遺骨が埋葬 研究目的で“持ち去り” 謝罪した東大も参加
研究目的のために墓地から持ち去られていたアイヌ民族の遺骨が、100年以上の時を経て北海道小樽市内に埋葬されました。
「尊厳を傷つけた」として謝罪を表明している東京大学は、アイヌと一緒に遺骨を土に戻しました。
木箱につめられたアイヌ民族の遺骨。
100年以上も前に小樽市内の墓地から掘り起こされたものです。
その数は全部で20体。
副葬品とともに長い年月を経て地元に帰って来ました。
かつて大学の学者たちは、研究という名のもとで道内各地でアイヌの遺骨を無断で掘り起こしました。
持ち去られた遺骨のほとんどが頭の部分。
頭蓋骨の形状や大きさから、人類の起源がわかるとされてきたのです。
(遺骨が返還されたインカルシペの会 平山裕人さん)「このあたりのどこかですね。ここにアイヌの墓があって、そこから持って行った」
小樽でも1878年以降に、東京大学や北海道大学の学者がアイヌの遺骨を収集していたのです。
小樽のアイヌや研究者でつくるインカルシペの会による国への返還申請に基づき、7月14日に遺骨が引き渡されました。
そして、東大は初めてアイヌに謝罪しました。
(東京大学 麻生亘総務部長)「アイヌ民族の方々のご意向に寄り添うことなく(収集・保管が)行われ、尊厳を傷つけたことを誠に申し訳なく思っており、深くお詫び申し上げます」
そして7月25日。
返還された遺骨は小樽市内の墓地に埋葬されました。
(インカルシペの会 木村二三夫さん)「降りてください。よろしく」
東大や北大の職員も参加し、アイヌと一緒に土に戻しました。
(インカルシペの会 木村二三夫さん)「自分の身に置き換えて考えてもらいたい。あるべき姿に戻す。本当にほっとした。アイヌもシャモ(和人)も関係ない。人としてやりましょう」
(東京大学 広末賢太本部総務課長)「大変貴重な機会だと思います。厳粛な気持ちで参加できたこと、良かったと思います」
墓地から持ち去られた遺骨と、民族としての尊厳。
二度と繰り返さないためにも過去の過ちを知ることが大切です。