水源地を守れるか?署名をニセコ町長自ら提出 元所有者は約5億円で土地売却の和解案も 札幌高裁
水源地の所有権をめぐり、北海道ニセコ町と土地の元所有者が争っている裁判です。
土地の元所有者がおよそ5億円の和解案を示していましたが、9月11日の和解協議で町からの具体的な案は示されなかったということです。
ニセコ町は重要な水源を守ることはできるのでしょうか。
(山岡記者)「町民から集めた署名を提出するため、いま町長らが裁判所へ向かっています」
11日午前、札幌高裁を訪れたのは、ニセコ町の片山健也町長です。
高裁に適切な判断を求めるよう、およそ22万人分の署名を町長自ら提出しに来ました。
(ニセコ町 片山健也町長)「町民のみなさんが応援してくれているということを伝えに来た」
羊蹄山のふもとに位置するおよそ16万平方メートルの水源地をめぐっては、ニセコ町と土地の元所有者の間で争いが起きています。
登記簿によりますと、水源地は2008年に山梨県のA社からB社に売買。
その後、C社、D社へと売買され、2013年にニセコ町が取得しました。
しかしA社は、B社への売買は第3者が無断で行ったものであるとし、ニセコ町に対し土地の返還を求める裁判を起こしていました。
そして2024年9月、札幌地裁はA社の主張を認めニセコ町が敗訴。
町は判決を不服として控訴し、高裁に適切な判断を求めるよう署名活動を行っていました。
(町民)「水源は生活に必要なものですから、ぜひ守ってもらいたい」
(町民)「羊蹄山にはきれいな水があるので、(町には)がんばってもらいたい」
控訴審は2025年6月に結審していますが、11日午後から開かれたのは、非公開の和解協議です。
これまで土地の元所有者は、およそ5億円で土地を売却するという和解案を示しています。
11日の協議で、町が別の和解案を提示するものとみられていましたが、元所有者の代理人弁護士によりますと、町からの具体的な案は示されなかったということです。
署名の提出で高裁を訪れた片山町長はー
(記者)「和解案については?」
(ニセコ町 片山健也町長)「いま協議中ですので、これからさらに熟度を上げて対応を検討したいと思います。とにかくしっかりと水を守る町にしたい」
町内の人口およそ8割をカバーする重要な水源を守ることはできるのか。
今後は札幌高裁が和解案を検討し、10月も協議の場が設けられています。