音威子府ー稚内間で終日運転見合わせ あすも特急6本運休に 運輸局は事故調査官を派遣 JR脱線事故
北海道中川町でJR宗谷線の普通列車が脱線した事故について、国の運輸安全委員会は調査官を派遣し、詳しい原因を調べています。
レールから車輪が外れています。
線路を支える盛土が崩壊し、マクラギも浮いた状態に。
雪解け水でしょうか。
線路脇には水たまりも確認できます。
(JR北海道 島村昭志常務)「けさ、宗谷線の方で列車の脱線が発生しています。鋭意安全の再生に向けて取り組んでいる最中にこのような脱線事故を起こしてしまった。大変申し訳ございませんでした」
JR北海道は会見を開き、4月8日朝に道北の中川町で発生した脱線事故について説明しました。
(林記者)「こちらが脱線事故があった現場です。列車が立ち往生していることが確認できます。そしてすぐそばでは盛土が崩れていることも確認できます」
脱線したのは、音威子府駅を稚内駅に向けて出発した1両編成の始発列車です。
午前6時45分ごろ、JR天塩中川駅と問寒別駅の間で、運転士から「列車が脱線した」との連絡が指令センターにありました。
この列車に乗客はなく、乗っていた運転士2人にけがはありませんでした。
(佐々木カメラマン)「直線であるはずのレールが大きくひしゃげています」
レールを支えるマクラギが大規模に崩れた脱線の現場。
周辺には雪が残っていることも分かります。
JR北海道によりますと、線路の盛土は長さおよそ46メートルにわたって崩壊していて、運転士はこの場所を通過した際に縦揺れを感じて非常停止し、点検したところ、車輪の3軸目と4軸目が脱線していたということです。
事故現場を目撃した人はー
(現場を目撃した人)「ものすごい慌ただしい感じでした。列車の方にJRの職員さんがいて道路の側にもJRの職員さんがいて大声で現場の状況を伝えていました」
現場の状況から、盛土の崩壊は雪解け水の影響が考えられるといいます。
(北見工業大学 白川龍生准教授)「雪解け水が盛土内に浸透したことによる土砂災害ではないかなと考えています。3月から5月にかけて平均気温がプラスになりますので、北海道は融雪期に入ることになります。融雪に伴う土砂災害が起こりやすい時期」
7日に事故現場を最終列車が通過したのは午後10時半ごろ。
運転士から異常の報告はなかったことから、盛土の崩壊は7日夜から8日朝にかけて発生したとみられます。
この時期ならではの事象に、専門家は対策の難しさを指摘します。
(日本大学生産工学部 綱島均特任教授)「冬場というのは雪に埋もれていて、レールの状況が正確にはわからないというケースがよくあると思う。夏場にこういった危険箇所を抽出して事前に対策をしておくということが大事」
国の運輸安全委員会は調査官2人を派遣し、詳しい原因を調べています。
(運輸安全委員会 西本正人鉄道事故調査官)「列車脱線事故ということで、どのように脱線しているのか、なぜ脱線が起こったのかに注目して調査を進めていきたい」
この事故の影響で、音威子府から稚内までは終日運転を見合わせていて、9日も宗谷線の特急6本を運休にする予定だということです。
線路の復旧には1週間以上かかる見込みです。