掲げた目標は“売り上げ30億円” 札幌ドーム経営の立て直し戦略は…? 民間出身の新社長を直撃!

キーワードは「アイデアと発信力」。
ファイターズの移転後、厳しい経営が続く札幌ドーム。
新しく就任した民間出身の社長に、経営立て直しの戦略を直撃しました。
掲げた目標は… 売り上げ30億円!!
ドーム球場にさっそうと現れた男性。
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「売り上げ30億円。市民への利益拡大」
掲げた目標は、年間売り上げ30億円!
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「家はあそこなんですよ。あそこまでジップライン」
民間出身のアイデアと発信力が武器。
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「まさしく第2の創業という意気込みで取り組んでまいります」
札幌ドームの経営立て直しを託された新社長の戦略に迫ります。
新社長・阿部晃士さんを直撃!単独インタビュー
札幌市豊平区にある「大和ハウスプレミストドーム」。
運営するのは、市の第三セクター「札幌ドーム」です。
2025年6月、新社長に就任したのが、札幌出身の阿部晃士さん56歳です。
(宮永キャスター)「就任してみてどうですか?」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「そうですね、2か月が過ぎましたが、あっという間に時が過ぎた感じがします」
(宮永キャスター)「これまでの札幌ドームの在り方といいますか、経営面も含めてどんなふうにご覧になっていましたか?」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「設備投資だとか大規模修繕以外、それと2023年度以外は全部黒字だったんですよね。ただ、会社の内部のことをオープンにできていなかったという中では、市民・道民の方々が株式会社札幌ドームを理解するための情報発信が少なかったのかなというのは感じていました」
『戦略①発信力』
阿部社長は旅行会社JTBの出身。
これまで北海道のみならず海外でも勤務し、新規事業の開発などを担当してきました。
その阿部社長が重視する戦略のひとつが「発信力」です。
記者会見の場に選んだのは、ドームの人口芝の上。
そこで訴えたのがー
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「2030年度の売り上げ30億円。市民への利益拡大」
2001年に野球もサッカーもできる多目的施設として開業した札幌ドーム。
2004年からは日本ハムファイターズの本拠地となりましたが、2023年に北広島に移転。
新型コロナによるイベント数の減少なども重なり、2023年度の売り上げは開業以来最低のおよそ12億円。
6憶円以上の赤字となりました。
2024年度はeスポーツの世界大会やネーミングライツ契約などで黒字に転じましたが、収益の改善が喫緊の課題です。
『戦略②新たに10億円を稼ぐ』
(宮永キャスター)「かなり具体的な目標を掲げましたね」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「この貸館事業を使っての売り上げは最大20億円だなと思っていて。貸館以外のビジネスモデルで10億円を稼ぎ出すいまプロジェクトを社内で立ち上げたところです。他ドームではできないような尖ったようなイベントも、自主企画としてやっていければいいのではないかなというふうに思っています」
自主企画のひとつが、ドーム内で開催しているヨガのイベントです。
(宮永キャスター)「ヨガのイベント、随分好評だそうですね」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「おかげさまで、ナイトヨガなんですけども、各回満員でやらせていただいています」
(宮永キャスター)「展望台でやるのが初めて?」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「10年前?」
(広報担当者)「2015年に展望台でやったのですがあまり知られていない…」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「全然だめじゃん!」
(宮永キャスター)「PR力ですね」
8月からは開業以来初めてサッカーステージでのヨガ教室も開かれ、多くの市民が参加しました。
『戦力③アイデア力』
敷地面積30万平方メートルの広さを誇るプレミストドーム。
展望台から眺めると、阿部社長から次々とアイデアがあふれ出ます。
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「ここの場所の使い方も、ヨガだけでなく、過去にはジャズのライブもあったみたいだけど、使い方も考えたい。ユニークベニューになると思うし。ジップラインとか」
(宮永キャスター)「面白いですね」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「家はあそこなんですよ。あそこまでジップライン。家に帰るの、仕事終わったら」
(宮永キャスター)「本当にこれだけの敷地がありますから、いろんなことをやろうと思えば何でもできちゃうような、そんな施設ですよね」
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「いま外を活用した事業が何かできないかっていうのも考えたりとか。きょうは平日ですのでイベントがありませんから(駐車場に)車は止まっていませんね。じゃあここを使ってどのようなマネタイズができるかとか、こういったことも考えていくと非常に面白いですね。いろいろ構想はあるので」
柔軟な発想で新たな取り組みを始める阿部社長。
若手経営者を前にした講演会ではー
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「この4月から6月まで札幌ドームであったイベントを経済波及効果の換算をいたしますと50億円です。50億円ですよ。ホテル・飲食店・お土産店みんな儲けているじゃないですか。いいじゃないですか。それで十分、僕は価値があると思っているんですよね」
「札幌ドームと一緒に事業をやりたい!」
そう思ってもらえるように熱い思いをぶつけました。
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「もう株式会社札幌ドームだけではできることは限られているわけです。ですから私はいろんな業種の方と組んで新しいビジネスを作り上げていく」
社員も驚くほどのスピード感で改革を進める阿部社長。
プレミストドームの一番の価値をこう語ります。
(札幌ドーム 阿部晃士社長)「ここに多くの方々を集客する。集客したお客さまを市内や市外に送り込む。北海道・札幌を元気にするという北海道の経済活性化の一翼を担う。その価値が上がれば道民の理解は変わってくると思うので、ここだけで稼ぎ出すのではなく、どうすれば北海道全体の経済が良くなるかということをも考えながらの経営を目指していく」
挑戦しなくても仕事がある時代はもう終わり。
ゼロからイチを作ることに長けた新社長の手腕が試されます。
まもなく「食」に関する新たな事業を発表予定!
札幌ドームはこれまで、「貸し出す」という発想で仕事をしていたといいますが、阿部社長就任から2か月で、社員から「こんなことやりたい」という声が上がるようになり、雰囲気が変わってきているそうです。
阿部社長は、ドームに来た客を札幌、道内でもう1泊して北海道全体が潤うことがプレミストドームの価値だと話していました。
そういう特別な場所であると同時に、市民が日常で使えるよう今月中に、1年を通して楽しめる「食」に関する事業を発表するということです。