小樽市懸案はオタモイ以外も 天狗山や祝津開発優先の意向 オタモイ地区再開発は引き続き協議へ
小樽の新たな観光資源として期待されていたオタモイ地区の再開発ですが、多額の事業費がかかるほか、小樽市が慎重な姿勢を示してることを受けて、地元の経済界などでつくる「開発協議会」は6月16日、計画を先送りすることを決定しました。
(山本記者)「オタモイ海岸の駐車場です。かつて多くの人で賑わった遊園地の入り口が今も残っていますが、立ち入り禁止の看板があり中には入れません」
小樽市の中心部から車で15分のオタモイ地区。
2021年から再開発計画が動き出していました。
断崖からせり出した展望テラスは高さおよそ150メートル。
雄大な景色や日本海が一望できます。
展望テラスから海に飛び出すようなジップラインは、断崖の間近を通るアクティビティです。
小樽の新たな観光資源として、オタモイ地区の景観や自然を生かす計画です。
この場所は、昭和初期に道内屈指のレジャー施設として知られた「オタモイ遊園地」がありました。
園内には高級料亭「龍宮閣」もあり、「夢の里」とも呼ばれていました。
ところが「龍宮閣」は昭和27年に焼失。
相次ぐ崩落で立ち入り禁止となり、長い間「忘れられた観光地」になっていました。
そんなオタモイ地区に光を当てたのはー
(ニトリホールディングス 似鳥昭雄会長)「これは絶景だね!」
大手家具メーカー「ニトリホールディングス」の似鳥昭雄会長です。
(ニトリホールディングス 似鳥昭雄会長)「想像した以上でした。北海道らしいなって。本州ではこういう景色はないですよね」
この景観を観光資源として生かすため、2021年にニトリは、小樽商工会議所にこの地区の調査費として5000万円を寄付。
そこから現地調査や計画案が練られ、再開発に向けた動きが本格化しました。
地元の市民からはー
(小樽市民)「古い建物もたくさんあるので残しておいて、必要なところは金を投資して強化すれば観光客が来ると思う」
(小樽市民)「あそこは厳しいと思う。交通の便もあるから大変」
ただ、小樽市はがけ崩れや落石が多いオタモイ地区の安全に懸念を示していて、再開発に対し慎重な姿勢でした。
さらに、計画に伴う事業費は施設だけで15億円以上と見込まれ、資金調達は大きな課題でした。
一方で、市は老朽化が進む天狗山ロープウェーの再開発の検討を進める方針を固めていました。
こうした市の方針などをうけて、小樽商工会議所などでつくる「オタモイ開発協議会」は16日、今後の再開発について計画を先送りすることを決定しました。
(オタモイ開発協議会 山本秀明会頭)「天狗山開発や祝津開発など、オタモイ開発以前に小樽市の懸案だったものがあり、市としてはそれを優先したいという考え方なので。そういう市長の考えを無視するわけにはいかない」
この判断を受けて、調査費を寄付したニトリホールディングスの似鳥会長は、「オタモイから見た夕日がすばらしい。この景色を生かしたいという想いは現在も変わっていません」とコメントしています。
オタモイ開発協議会は今後、遊歩道の整備について道と話し合うなど、できるところから再開発を進められないか引き続き協議を続けたいとしています。