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「直美」が15年で約30倍に激増 研修終えて美容外科へ直行する医師 直美を選ぶ若手医師の本音

「ちょくび」という言葉がいま医療界で注目されています。

研修を終えてすぐに美容外科へ直行する医師のことを言います。

なぜ美容外科の道を選ぶのか。

若手医師の本音に迫ると、いまの医療界の制度の限界や矛盾が見えてきました。

外見のコンプレックスを解消するだけではない…人生を前向きに導く「美容医療」

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「せーの、大丈夫ですか」

(患者)「大丈夫です」

肩の筋肉の張りを抑え、美しいラインを作るボトックス治療。

手掛けているのは、美容外科医の田中瑞希さん31歳。

患者にこの施術を決めた理由を聞いてみると?

(患者)「1か月後に結婚式を控えていて、きれいに見せたいというのがあり、やろうと思いました」

次の患者は…

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「アゴのラインをVにして、シャープな印象にしていきます。チクッとしますね」

(患者)「いい感じですね。アゴ先が平たんなのが気になっていて、シュッとしたらきれいに見えるかなと思ってやってみようと」

美容外科には、わたしたちの想像以上に老若男女を問わず患者が訪れ、様々なニーズがありました。

(患者)「仕事をしていて、お客さんになんでそんな痩せたのと言われて、ボトックス打ちましたと。もっと早くやればよかった。娘がいるので、老けたくない嫌われたくないという」

外見のコンプレックスを解消するだけでなく、悩める心の内にメスを入れ、人生を前向きに導くのが美容医療、と田中さんは力説します。

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「直後から結果が分かることが多いので、眼科の時も責任は持っていたが、さらにその意識が上がったというか。すごく責任を持って結果を出すようにしていますね」

実は田中さん、医師としてのキャリアは眼科が始まり。

“直美”の医師が急増 「週休2日で当直がない美容外科が魅力的に見えた」

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「一番合っていたのは眼科。その時は子どもが生まれたばかりで両立を考えて。美容いいなって気持ちはあったけど、まずは専門医とかちゃんととって一人前の医者になってからいろいろ考えようかなと最初は思って。それが当たり前と思っていたので、医者の科(眼科)を選んで行ったんですけど。なかなか夫の転勤に合わせるとそれができなくて。キャリアを積むのがすごく遅くなっているなって感覚がその時あって。何人か同期の中に美容に行った人がいて。その時にそういうやり方もあるんだって初めて知って。『直美』と言われるようになったのはここ1~2年とかだと思うんですけど、すごい増えていると思います」

いま医療界で俄かに注目されている「直美」。

医学部を卒業し、免許を取得した医師は、内科や外科などの基本診療科で2年間の初期研修を積むことが法律で定められています。

近年、この研修の後“直”説“美”容医療に進む「直美」の医師が急増しています。

厚生労働省によると、15年前は年に数人程度だった直美の数は、現在、年に200人近くでおよそ30倍に。

その背景にはー

(MJクリニック札幌 村山健二院長)「これくらいだと周りに気づかれないくらいの自然な変化かなっていう感じなので。ちょっとチクっとします、痛いですか」

40歳の村山健二さんは13年前、初期研修を終えてすぐに大手美容外科に就職した「直美の医師」です。

当時の正直な気持ちは…

(MJクリニック札幌 村山健二院長)「ちゃんと週休2日ある。かつ当直がないっていう美容外科がすごく魅力的に見えて。給料も普通の診療科に比べてすごく高いので、美容外科医に行くという決断を研修医の時にしました」

しかし、美容外科医になってわずか1年。

(MJクリニック札幌 村山健二院長)「自分はなぜ医者になったのか自問自答することが多かったんです。人の命に関わる医療だっていうのを思って、外科の道を選びなおした」

「人の命を救いたい」。

その原点を諦めきれず、「消化器外科医」へと転身しますが…

(MJクリニック札幌 村山健二院長)「あのときは月の残業時間が200時間を超えていましたね。やっぱり外科はハード。当時30代前半。50代の先生も月に当直10日以上。家族との時間も取れない働き方。尊敬できる先輩ばかりだったが、自分が50歳になった時も同じ働き方はできないと。改めて考えて美容に戻ろうと」

医療が抱える制度の限界…矛盾の現れが「直美」

美容外科の第一線に立つ田中瑞希さん。

仕事を終え自宅に帰ると…4歳の娘がお出迎え。

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「(眼科時代は)仕事も育児も中途半端な自分みたいな、それがしんどくて。いまはお仕事を頑張って、そこは自信を持って言えるので、自分のメンタルにいいです、そっちの方が」

夫の聡一さんも麻酔科の医師です。

(夫・聡一さん)「(妻は)美容外科医になる前は結構病みがちというか、将来に不安を感じながら働いていたんですけど、美容外科医になって自分のやりたいことをやりながら」

理想と現実の狭間で揺れる若い医師たち。

「直美」はいまの医療が抱える制度の限界や矛盾の現れ、と専門家は指摘します。

(医療ジャーナリスト 市川衛さん)「(大学には)非常に大きな補助がされていて、医師を養成しなきゃいけない。私たちの命を脅かす病気を治療できる専門技能を持った人に育ってもらい、全国で活躍し、社会全体の健康の質を高めることに、いわば社会として投資をしている。その投資は美容外科医を育成するためと思っているケースは実際ない」

しかし、社会の価値観が多様化する中で、ワークライフバランスを考えるのも自然の成り行きです。

(ルラ美容クリニック 田中瑞希医師)「女医も増えているが、結婚とか出産とか子どもがいる人にとっては都合をつけられず、それでも仕事を頑張りたい人は別居している人もいて。それであきらめて、免許を持っているが仕事をしていない女医もいる。結構女医さんは大変。男性で子育てしている人もいるので、やはりどっちもそう」

医師という伝統的な職業倫理観と、ワークライフバランスという新しい働き方改革をどう両立するか。

「直美」という生き方はそれを社会に問いかけています。

08/09(日) 07:47

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