“エッグショック”再来か 1パック320円超え…スーパーは品薄で販売制限 クリスマスケーキにも影響
タマゴの高値が続いています。
価格は2023年のエッグショックに並ぶ水準に達し、家計を直撃しています。
年末に向け需要が高まる中、今後の価格はどうなるのでしょうか。
1か月にタマゴ5800個 すき焼き専門店に“負担”
甘辛く炊いた国産の牛肉を生卵にたっぷり絡めて食べるすき焼き。
寒い季節は、よりおいしさが増します。
(来店客)「うん、おいしい」
札幌市内のすき焼き専門店です。
柔らかでうま味のある牛肉を味わえます。
(来店客)「タマゴがあるからおいしさを引き立ててくれる。なくてはならないもの」
すき焼きに欠かせないタマゴ。
しかし、ここ最近、価格が上がり続けています。
(業者)「タマゴをお持ちしました」
店では毎日、業者から新鮮なタマゴを仕入れています。
(記者)「タマゴは1か月に何個使う?」
(店の人)「5800個くらい」
タマゴの仕入れ値は月におよそ16万円。
2024年の同じ時期に比べ、1割以上あがったといいます。
(牛屋江戸八 女将 田村留美さん)「すき焼きにはタマゴが欠かせないので、とても大きな負担になっています」
タマゴの価格は上がったものの、年内は値上げする予定はなく、量も確保できているといいます。
(牛屋江戸八 女将 田村留美さん)「エッグショックの頃は本当にタマゴがないという、仕入れ先がないということで東京から取り寄せていましたが、いま現在はそこまでの深刻な状況ではない」
2023年のエッグショック再来か…?タマゴ価格が高騰
(宇佐美記者)「タマゴの売り場なんですが、ほとんどが売り切れてしまったということです」
スーパーからタマゴが次々と消えた2023年の“エッグショック”。
道内の養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、採卵用のニワトリの2割以上となる120万羽が殺処分されました。
タマゴ不足によって1キロあたりの卸売価格は360円台まで上昇。
その後、一旦下がったものの、2025年10月と11月に発生した鳥インフルエンザやエサ代の高騰も重なり、12月9日の価格は360円と「エッグショック」並みに高騰しています。
タマゴ流通も値段が高い…!家庭や飲食店から「悲鳴」
札幌市内のスーパーです。
(長岡記者)「こちらのスーパーのタマゴ売り場を見てみると、個数制限がかけられています」
タマゴの入荷量が通常の7割程度と品薄状態が続いているため、11月からひと家族1パックの販売制限を設けています。
タマゴ売り場にはスープなどの関連商品を置いて、空いたスペースを埋めていました。
この日のタマゴの価格は321円。
2024年の同じ時期に比べて20円以上あがっているといいます。
(来店客)「300円いくと一つ買うのにも結構大変。手軽に手に取れない」
(来店客)「何もないときのタマゴですよね。朝食には目玉焼きか卵焼き。あと1品欲しいときにはタマゴのお世話になる。なんでも高いので比べようがない」
(ラッキー山の手店 井上裕康店長)「年末年始にかけて料理に利用する客が多いのが現状なので、夕方には商品がなくなっている状況。供給不足は半年以上続く予想だが、入荷量はエッグショックのときよりは出回っているので、販売制限を継続してやっていくしかない」
クリスマスを控える洋菓子店も頭を悩ませています。
ショーケースに並ぶのは、フランス菓子をベースにしたケーキです。
看板メニューは、オーナーが考案したというバナナムースやレモンクリームが層になったさわやかな味のケーキ。
いずれもタマゴが使われています。
12月は“書き入れ時”ですが、タマゴの価格高騰のあおりを受けているといいます。
(廣川菓子製作所オーナー 廣川雄士さん)「クリスマス・年末年始を控えているので使う量は増えます。タマゴはないと商品が作れないので、値上がりは厳しいが買わざるを得ない」
2023年のエッグショックを経験してからは、ある対策をとっているといいます。
(廣川菓子製作所オーナー 廣川雄士さん)「(タマゴの)業者を分散させたりタマゴをあんまり使わないレシピを考えたり、エッグショックの時はタマゴ自体が手に入らなかったのでどうしようもなかったが、いまは手には入るのでいまの方が楽」
「鳥インフルエンザ」北海道は…より警戒必要に
それでも心配されるのが「エッグショック」の再来です。
専門家は鳥インフルエンザへの警戒がこれまで以上に必要だと話します。
(北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授)「鳥インフルエンザの警戒シーズンが一番長い都道府県が北海道。(鳥インフルエンザは)日本全体で見るとこれからがピーク」
道内の鳥インフルエンザのピークは、ウイルスを持ち込むハクチョウなどの渡り鳥がやって来る秋と春です。
ところが、冬の間も渡り鳥からカラスなどの野鳥に鳥インフルエンザが2次感染するおそれがあるといいます。
(北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授)「その渡り鳥たちを捕食、食べて感染したカラスや猛禽類による2次感染のくすぶりもあるので、気を抜くことなく12月~2月を関係者は対策していくことが大事。幸い昨シーズンよりも少ない数で推移しているが、この状況を維持して発生件数を減らしてタマゴの価格の安定につなげられればいい」
気になる今後の価格ですが、ホクレンによりますと、店頭からタマゴがなくなるような状況ではないものの、年末年始に向け需要が高まるため、価格は引き続き高値で推移するということです。