発砲判断は「自治体」市街地で銃を使った駆除可能に 第一優先は安全確保 訓練で見えた課題 北海道
クマについて9月1日から、一定の条件を満たせば市街地で銃を使った駆除が可能になります。
ただ、発砲の判断と責任を負うのは「自治体」です。
ハンターや警察との連携を確認する訓練が札幌で行われました。
(山本記者)「いまあちらにクマが出没した想定でハンターらが対応訓練を行っています」
札幌市西区の公園で実施されたクマ駆除の訓練の様子です。
公園の周辺で断続的にクマが出没している想定で行われました。
しかし、市街地では原則発砲が禁止されています。
そこで発砲を許可したのは、警察やハンターでもなく札幌市の職員。
(札幌市の職員)「準備整い次第、撃っていただいて構いません」
許可を受け、ハンターらが模擬銃を構えます。
訓練では「ヒグマ緊急銃猟」という腕章を身に着けた担当の市職員の許可で発砲するという駆除が実施されました。
(山本記者)「銃声が響き渡っています」
7月に道南の福島町で男性を襲い死亡させたクマが駆除されたのも、発砲が原則禁止されている住宅街の中の茂みでした。
このときは警察が法令に基づいて発砲を命令しましたが、9月1日からは改正鳥獣保護管理法が施行されます。
これによって住民の安全が確保できるなどの条件を満たしていれば、自治体がハンターに対し、市街地での発砲いわゆる「緊急銃猟」を委託できます。
この緊急銃猟の運用にあたり、自治体はどのような対応が必要なのでしょうか。
(山本記者)「なぜここで発砲できたのか?」
(札幌市環境局 清尾崇さん)「要件を満たしている中で、安全確保の一つに射線の確保とバックストップが確保できているかどうかがポイント。銃をこっちから狙った時に銃弾が突き抜けたとしても、斜面のところで止まって奥の住宅地にの中にいかないという地形だから、ここで発砲することができた」
(山本記者)「仮に平坦なら? 」
(札幌市環境局 清尾崇さん)「平坦だったり下がっている場合は、向こうの住宅地の方に飛んでいく場合があるので、ここでは発砲することはできない」
第一に優先しなければならないのは安全の確保。
自治体はこれまで以上に難しい判断が求められ、発砲の責任も負うことになります。
(札幌市環境局 坂田一人さん)「やはり制度の中でも、かなり手順や安全確認が必要。実際に速やかに捕獲までつなげるパターンは限定的なのかな。壁面がコンクリートだったり住宅街のど真ん中にクマが出没した場面になった時に、果たしてこの制度が使えるのかどうか。課題が色々見えてきた」
(山本記者)「緊急銃猟が実施可能になるまで1か月を切った今、市町村と警察そして猟友会のより密接な連携が必要です」