ニュース

NEWS

詳報「子どもの死体を解体していると思い込み…」共同住宅に放火 殺人罪などに問われた男の初公判 弁護側は無罪主張

北広島市の生活困窮者向けの共同住宅で2022年9月、2人が死亡した放火殺人事件で、被告の男(70)の初公判(裁判員裁判)が2025年9月2日に開かれました。

殺人と放火の罪に問われているのは、荻野正美被告70歳です。

起訴状によりますと、荻野被告は2022年9月、北広島市の生活困窮者向けの共同住宅の自室に火をつけ、管理人の男性と入居していた女性を死亡させた罪に問われています。

「どうして事件を起こしたのか…」

予定通り始まった裁判で、荻野被告は車いすに座り、鼻に管を通した状態で入廷し、無表情で下を向いていました。

起訴内容について事実と違う点があるか裁判長に問われたのに対し、荻野被告は「間違いないです」と認めたうえで、「どうしてこのような事件を起こしたのか、どうして本当の自分に戻ることができなかったのか、わかりません」と話しました。

「犯罪者になる」と叫び灯油を…

裁判の後半には証人尋問が行われ、事件当時、荻野被告と同じ共同住宅の2階に住んでいた男性が検察側と弁護側の質問にそれぞれ答えました。

男性は事件当日の状況について「廊下から灯油をまくびちゃびちゃという音が聞こえ、その後荻野被告が『火をつける』『犯罪者になる』と叫んでいた」と話したうえで、荻野被告への思いについて聞かれると「放火はやめてほしい。2人の人が死んでいるので、できれば刑務所から出てほしくない」と述べました。

争点は責任能力の有無

裁判では、責任能力があったかどうかが争点となっています。

検察側は「被告は管理人の男性が、自分の子どもの死体を解体していると思い込み、自分も殺されると思い犯行に及んだ」と指摘。

一方、弁護側は「幻覚や妄想の激しい症状で自身の行動を止められなくなった」としたうえで「荻野被告は犯行時、精神障害によってしてはいけないことの判断ができなかった」などと「心神喪失」状態だったとして無罪を主張しました。

初公判は予定より約1時間早く、午後4時ごろ閉廷。

裁判は9月10日結審する予定で、判決は9月17日に言い渡される予定です。

09/10(水) 07:02

ニュース