スーパーは入荷に遅れ「打撃が大きい」津波警報から一夜、物流に影響 最大3万5000人避難 北海道
津波警報から一夜明けた北海道内では、スーパーなどは営業を再開するなど日常が戻りつつありますが、太平洋沿岸にいまも津波注意報が発表されていて、物流などには影響が残っています。
最大80センチの津波を観測した根室市の花咲港です。
満潮時刻も重なり、7月30日午後6時15分すぎには車のタイヤがつかるほどの海水が陸地に押し寄せました。
津波警報は30日夜、注意報に切り替えられ、その後、日本海沿岸北部などでは解除されましたが、太平洋沿岸はいまも津波注意報が発表されていて、物流にも影響が出ています。
根室市の水産加工会社を訪ねてみると…
(マルイチダイ大場水産 大場康之さん)「いまは出荷ができなくて、そのまま止まっているような状況ですね」
根室ではこの時期、花咲ガニやホッカイシマエビなどの魚介類が旬を迎えていますが、輸送船が止まっているため本州に出荷できない状況です。
やむを得ず道内の客に出荷していますが、60件以上が滞っていて、台風の影響が落ち着いた矢先の津波に困惑しています。
(マルイチダイ大場水産 大場康之さん)「大打撃です。1日も早く再開してほしいですね」
一方、30日昼ごろから臨時休業したという釧路町のスーパーでは…
(石田記者)「こちらのスーパーはきょう営業を再開しました。物流に影響もあったということですが、通常通り営業しています」
この店では通常通り午前10時に開店しました。
しかし、物流や物流センターの商品の仕分け作業がストップした影響で、入荷に遅れが発生しているといいます。
(フクハラ店舗運営部 宮崎雅浩釧根地区長)「飲料類や一部日配品の物流が止まった分、入荷がいま遅れているという状況です」
津波による被害の情報も入っています。
道によりますと、津波警報による避難などの際に、厚岸町の80代の男性が足の骨を折る大けがをしたほか、熱中症の疑いで体調不良を訴えた人など、あわせて14人が病院や避難所で手当てを受けました。
最も多いときには39の市町村で避難所が開設され、最大で3万5295人が避難したということです。
鈴木知事は31日に開かれた災害対策の会議で、改めて道民に対し注意を呼びかけました。
(鈴木直道知事)「潮の流れが速い状態が続いておりますので、注意報が解除されるまで海に入ったり海岸に近づいたりしないようお願いいたします」
津波警報から津波注意報に変わったあとも、31日朝、小樽で20センチの津波を観測しました。
長時間にわたる津波注意報の継続に専門家は…
(北海道大学 谷岡勇市郎名誉教授)「普通の波とは全然違う性質を持って、非常に周期が長い。今回も10分ぐらいの周期を持った津波なんですけれども、そうすると10分間、沖にずっと引く波があって、そういうところに人がいると非常に沖合まで一気に持っていかれることがあるので、例え20センチでも気をつけてほしい」
交通機関にも影響が出ています。
JRは車両繰りや設備点検のため、31日も札幌と函館、帯広、釧路などを結ぶ特急30本を含む171本が運休しました。
津波注意報が解除されるまでは、海に近づかないなどの注意が引き続き必要です。