「ひっかかると思わなかった」疑う気持ちはあったのに…言葉巧みな特殊詐欺 道内の被害額11億円超え
「正直、特殊詐欺に引っかかると思わなかった」
8月にオレオレ詐欺に遭い、500万円をだまし取られた男性が悲痛な思いを語りました。
その手口は実に巧妙です。
(電話)「○○さん名義のキャッシュカードが見つかっておりますので、今回事件の当事者として連絡しているんですけど」
8月6日、警察を名乗る男から札幌市内に住む40代男性の携帯に電話がありました。
捜査している中で、男性のキャッシュカードが見つかったというのです。
(電話)「オレオレ詐欺だったりの振り込み先口座として使われているんですよ。○○さんの口座にお金を振り込んだとして被害届が出ているんですよ」
実はコレ、全部がウソ。
言葉巧みにでっちあげた「オレオレ詐欺」の電話でした。
(被害に遭った男性)「警察だと言われ、詐欺だと思いました。どこからか信用するようになり、流れで指示に従ってしまった」
こう語るのは被害者の男性です。
電話の中で、警察のほかにも警視庁や検察官を名乗る男らが登場し、逮捕までほのめかします。
(電話)「罪が成立した場合、3年~10年の懲役となる恐れ」
(被害に遭った男性)「ほぼ加害者前提で、あなたは加害者なんですよと繰り返し言われた。逮捕されるかもしれないというプレッシャー。従わざるを得ないという気持ちでした」
ビデオ通話を使ってのウソの「取り調べ」も行われ、信じ込んだ男性は指定された口座に現金を振り込んでしまいます。
その額、なんと500万円…。
男らからは周りの人への“口止め”も要求されていました。
(被害に遭った男性)「最後までどこかに疑う気持ちはあったのですが、それよりもやらなくちゃいけないという気持ちの方が大きかった」
7月、旭川市内では警察官が寸劇を交えて被害防止を呼び掛けました。
道内の特殊詐欺による被害額は、7月末までに2024年の5倍にあたる11億円を超えています。
札幌でも先週、年金の支給日に合わせて警察官らがチラシを配り啓発しました。
中にはこんな人も…
(マチの人)「僕の知っている人も、警察を名乗られて「何かやったかな」ってそんなこと一瞬思ったけど、話していると辻褄が合わないからおかしいなって」
(札幌南警察署刑事第二課 川村学課長)「警察官がお金を要求することや、ATMで振り込めという要求、郵送してもらうようなことは一切ありません。取り締まりを強化していきたい」
詐欺に遭わないために…500万円を騙しとられた男性はこう訴えます。
(被害に遭った男性)「正直、特殊詐欺に引っかかるわけないと思っていた。特殊詐欺からみなさん逃げることできない。知らない人から電話が来た時はなるべく1人でいないことが肝心」
様々な手口で私たちの心につけ込んでくる特殊詐欺。
「自分は大丈夫」と思わず、常に警戒しておくことが大切です。