大切に伸ばしてきた髪 8歳男児が“ヘアドネーション”に挑戦 病気などで髪を失った人へ 北海道
病気などで髪を失った人に、長く伸ばした髪を寄付する「ヘアドネーション」。
先週、札幌市内の小学生が3年間伸ばした髪を切りました。
諦めずに挑戦した8歳の男の子。
そこにはある思いがありました。
乾かすのに5分以上…幼稚園のころから伸ばした髪
腰に届きそうなほど長く伸びた髪。
乾かすのに5分以上かかります。
(母 恵里さん)「女の子のお母さんは毎日やってるのすごくない?」
(齋藤海李くん)「ママのお母さんもやってたんでしょ?」
札幌市の齋藤海李くん、小学2年生です。
(齋藤海李くん)「年長さんくらいの時に僕の髪が病気の人に寄付できるって知って、家で詳しく調べてみたらヘアドネーションを知って、僕もやってみようと」
ヘアドネーションは、病気などで髪の毛を失った子どもたちにウィッグ用の髪を寄付する活動です。
(母 恵里さん)「海李からママ髪の毛伸ばしたいって、病気の人に寄付できるらしいよって」
髪を失った人に届けたい。
その思いで幼稚園のころから髪を伸ばしてきました。
ジロジロ見られたことも… 諦めなかったのは「がんで亡くなったおば」の存在
海李くんが通っている体操教室です。
肩まであった髪は、三つ編みできるまでになりました。
長い髪をなでるのも癖の一つです。
(友達)「最初見た時は女の子かなって思ったけど、途中で男の子なんだってすごくびっくりした」
(友達)「多様性の時代なのでそういう子もいていいと思う」
(友達)「寄付するために伸ばしているのはすごくいいと思う」
(齋藤海李くん)「男の子、お兄ちゃんって言われたことない。だいたいお姉ちゃん、お嬢ちゃん」
見た目で女の子に間違われたり、トイレでジロジロと見られたりしたこともー
それでも諦めなかったのは、ある思いがあったからです。
(齋藤海李くん)「親戚のおばさんががんで会いに行ったんですけど、髪の毛が抜けていたりしたから、おばさんみたいな人に僕の髪を渡すんだなと思ってやめられずにいた」
2024年10月に肺がんのため亡くなった、海李くんのおば・山田豊子さんです。
(齋藤海李くん)「おばさんみたいな人に渡すから、おばさんも頑張ってとか思ったりしたらいいなって」
3年ぶりに短くなった髪「早く寄付したい」
(美容師)「すごい、伸びたね、切る?」
(齋藤海李くん)「うん、緊張する」
先週、3年間伸ばした髪にハサミを入れることにしました。
(齋藤海李くん)「あ~、さらばだ、もう会わないよ」
(美容師)「切りますよ」
(齋藤海李くん)「はぁ~」
30センチ以上の髪が好ましいとされるヘアドネーション。
海李くんの髪は条件を大きく上回る34センチでした。
(齋藤海李くん)「よし、準備おっけー」
(美容師)「いくよ」
(齋藤海李くん)「3,2,1」
(母 恵里さん)「思ったより重いんですね、髪の毛って」
(兄 大馳さん)「よく伸ばしたよね、諦めずに。ちょけると思ったけど」
(母 恵里さん)「切りたいってよく言わなかったよね」
3年ぶりに髪が短くなった海李くん。
鏡に映る自分の姿をじっと見つめます。
(齋藤海李くん)「だれだよ~」
(母 恵里さん)「いいじゃ~ん」
(兄 大馳さん)「すっげ」
(齋藤海李くん)「ちょっと悲しいって気持ちもあるけど、早くこの髪を寄付してあげたい」
人の毛で作られたウィッグ 高額で数も少なく…「ヘアドネーションをしてくださる方には感謝」
札幌市にある北海道がんセンターです。
がん治療などで髪の毛が抜けた患者を対象に、ウィッグの試着や貸し出しをしています。
(阿部由衣さん)「人の毛で柔らかくて質が良い」
2024年11月に乳がんと診断された、札幌市の阿部由衣さん。
寄付された髪で作られた「ウィッグ」を使用しています。
(阿部由衣さん)「胸を全摘するっていう時より、髪がなくなる時の方が落ち込むぐらいショックは大きい。(ウィッグを)かぶり慣れない時はいいのかなって不安もあったけど、慣れてくると気持ちのゆとりもでてくる。外に出よう、人前に出たいと思う。すごいですよね、ウィッグって」
人毛のウィッグはより自然で長持ちしますが、高額で数も少なく、なかなか手に入らないといいます。
(北海道がんセンターピアサポーター 滝澤ひとみさん)「(人毛ウィッグの)見本がないくらいの状況なので、ヘアドネーションをしてくださる方には感謝の気持ち」
(阿部由衣さん)「(寄付する人の)何か助けになればという優しい心が、私たちがん患者にとっては気にかけてくれてるんだっていうのですごく心温まります」
“誰かの役に立ちたい” 再び髪の毛を伸ばすと決意
一週間後、大切に伸ばしてきた髪をヘアドネーションの団体に送ります。
海李くんは自らの思いも届けることにしました。
(齋藤海李くん)「できた!」
(母 恵里さん)「つらい思いをしていると思います。そんなお友達に少しでも早く僕の髪を届けてあげたいです。いいんじゃないですか」
(齋藤海李くん)「はい!いってらっしゃい。できた!もう髪に会うことはないよ」
少し名残惜しそうな海李くん。
実は、もう一度髪を伸ばそうと心に決めています。
(齋藤海李くん)「1人助けられるのもいいけど、2人助けられたらもっといいから、もう1回やろうかなって」
(記者)「ここから始まるね」
(齋藤海李くん)「また髪を乾かすのが長くなってくる」
誰かの役に立ちたい。
小学2年生の小さな胸にずっと抱いてきた思いです。
(齋藤海李くん)「3,2,1、いってらっしゃい!早く届いてくれ」
海李くんのその優しい思いは、やがてウィッグとなって患者たちの笑顔を支えます。