「例年の倍の古米が倉庫に」 深刻なコメ余りのなか収穫期 概算金は大幅引き下げ…農家の胸中 北海道
ふっくらと炊き上がった新米。
一粒一粒が輝いています。
このコメが収穫されたのは…
道内有数のコメどころ・蘭越町です。
(コメ農家 金子辰四郎さん)「春から丹精込めて作ったものが出来上がったので、気持ち的には良かったなと」
26ヘクタールの水田でコメを育てる金子辰四郎さん。
娘の千尋さんと二人三脚でコメ作りに励んでいます。
2026年の出来は上々だといいますが、頭を悩ませているのが大幅に下がった“概算金”です。
(コメ農家 金子辰四郎さん)「概算金の数字がコスト指標よりも下回った。かかったコスト以上の収入が得られないと、再生産、来年も作ろうかという気持ちにならなくなる」
JAがコメ農家に前払いする「概算金」は、2025年からおよそ4割下落。
生産コストを下回る金額となったのです。
その要因とされるのが、深刻な“コメ余り”。
蘭越町にあるJAの倉庫です。
(大森記者)「倉庫にある去年収穫されたコメですが、例年はこちらの量が倉庫にあるということなんですけれども、2倍の量が倉庫にあります」
2025年産のコメは8月末時点でおよそ600万トンほどが保管されていて、例年のおよそ2倍残っているといいます。
(JAようてい蘭越支所 川瀬恭平販売課長)「需給の変化に伴いまして、引き取りのペースが緩やかになってることが原因かと思います」
全国的にもコメ余りは深刻で、2026年6月末のコメの民間在庫は過去最大の243万トンに膨らんでいます。
2024年、店頭からコメが消え、価格が高騰した「令和のコメ騒動」。
これをうけ、政府は2025年6月、市場に出回るコメの量を増やして価格を下げようと備蓄米を放出しました。
さらに、増産を後押しするなどして、コメの供給拡大を進めました。
しかし、コメの価格は高止まりし、2026年1月には5キロあたり4416円と過去最高水準を記録。
消費は伸び悩んだのです。
(酪農学園大学 相原晴伴教授)「(備蓄米の放出などで)供給全体として増えたわけですけれども、コメの価格が高くなったことで需要量が減った。民間在庫が多いということ。それに合わせて概算金を低くしたと」
この状況に、JA北海道中央会も危機感を募らせています。
(JA北海道中央会 樽井功会長)「生産者の皆さんは、これだけ肥料から生産資材費からいろいろなものが高騰してきている中で『やっていけない』という切実な声が直接私にも届いている」
金子さんもできる限り生産コストを抑えていますが、限界があるといいます。
収穫に使うコンバイン。
(コメ農家 金子辰四郎さん)「せいぜい3週間くらいしか年間動かないから。このタイプだと1500万ぐらいします」
さらに、コメの保管に必要な乾燥機は200万円以上。
いずれも使うのは収穫時期の数週間だけですが、コメ農家としては必要不可欠です。
(コメ農家 金子辰四郎さん)「やればやるだけ赤字になるのではもうやってられない。利益が上がらないと、若い人たちにがんばれと言いづらい」
喜びを感じる一方で、収入への不安を抱えながら続く収穫。
日本のコメ作りはいま大きな岐路に立たされています。
