7月末の津波警報… 見えてきた“避難の課題” けがや熱中症で道内16人搬送 暑さへの備えを
7月30日に北海道内で発表された津波警報では、35000人以上が避難しましたが、熱中症で搬送される人も出るなど、改めて夏の避難をめぐる課題も浮き彫りとなりました。
私たちは夏の災害にどう備えればいいのでしょうか。
30日、津波警報をうけて避難指示が出された苫小牧市内。
(松田カメラマン)「苫小牧市内の高台にある公園に向かう道は、避難する市民の車で長い列ができています」
高台に避難しようとする車で大渋滞。
その先にある公園の駐車場も満杯になっていました。
避難する車の渋滞は、道南の函館市でも…
(東海林記者)「海から陸の方に離れる車で渋滞しています」
函館市の避難計画では、緊急場所への距離が長い場合以外は徒歩での避難を呼びかけています。
(函館市総務部災害対策課 三上勝課長)「本当に車でないと避難できない方々が渋滞によって逃げられないことを避けなければいけない。対策ができるかどうかも含めて、関係機関と話し合う場を設けていきたい」
防災の専門家は、最新技術を活用した新たな避難システムの構築が急務だと指摘します。
(北海道大学 谷岡勇市郎名誉教授)「AIとかの技術も発達してきているので、避難時間がどうなるかやどこで渋滞が発生して行けなくなるかは、そういうものを使いながら全員がうまく避難できるシステムづくりを考えるのが重要」
さらに、夏の避難で見えてきた課題が、熱中症対策です。
むかわ町では臨時の避難所として消防署の屋上を解放しました。
しかし、この日の最高気温は27.2℃。
長時間、日差しの下にいるには厳しい暑さです。
避難していた人はなるべく日陰に身を寄せたり、アイスを食べたりして暑さをしのいでいました。
苫小牧市内でも多くの人々が屋外の公園に避難していました。
道によりますと、避難中にケガをしたり熱中症の疑いで病院に運ばれたりした人は16人いました。
また、屋内の避難所の多くは地域の体育館が使われますが、道内ではエアコンの設置率の低さが課題となっています。
避難所に指定されている小中学校の設置率は、全国平均が23.7%に対し、道内はわずか3.8%と大幅に低い数字です。
専門家は夏の避難について、いままでの認識を変えて備える必要があると指摘します。
(北海道大学 谷岡勇市郎名誉教授)「夏の避難となったら、北海道ですら非常に気温が高い。熱中症に対する備えを避難所にしておくのが重要だということが今回認識された」
私たちも夏の避難に備える必要があります。
こちらのホームセンターでは数多くの熱中症対策の商品を取り扱っています。
例えば衣服に吹きかけるとひんやりするスプレー。
取り出せばすぐに冷たくなるタオルもありました。
首に巻き付ければ冷たいマフラーのようになります。
こちらの商品は叩いて使います。
(山岡記者)「すごい、叩いた瞬間ひんやり冷たくなりました」
こうした手軽に扱える商品が、夏に避難するときにも役立つといいます。
(ジョイフルエーケー屯田店 池守克之さん)「夏場、暑い時にどうやって避難生活をしのぐかという観点で、熱中症対策グッズというのはこれからも非常に大切な商品なのかなと思います」
今回、道内で新たに見えてきた夏の避難の課題。
自治体ごとの検証と共に、私たちも備えの見直しが求められています。