「ハンターの『いた』という声が…」クマ駆除現場の緊張感 住宅街で発砲…体重218キロのオス駆除
動きがあったのは18日未明のことでした。
(カメラマン)「いたんじゃない?」
取材班が車を進めると、そこにはハンターの姿が。
(カメラマン)「ストップ。いるっぽい」
口に指をあて、静かにするようハンターが伝えます。
ライトを照らし、住宅の奥の方を確認する様子もー
(ハンター)「いた。いた」
(山本記者)「いまハンターからいたという声が。車庫と住宅の間にクマがいるみたいです」
午前3時ごろ、ついにハンターがクマを発見しました。
(ハンター)「下がってください」
現場にただならぬ緊張感が漂います。
(山本記者)「いま大きな銃発音が鳴り響きました。住宅街に銃声が鳴り響きました」
午前3時半ごろ、福島町月崎の住宅街で、ハンターがクマに発砲しました。
その2分後。
(山本記者)「いま2発目の銃声が鳴り響きました」
(ハンター)「OK、いいよ」
(山本記者)「ハンターからいいよという声も聞こえます」
放たれた銃弾は2発。
運び出されたのは体長2メートルほどのクマでした。
町によると、駆除されたのは月崎地区でよく見られていたクマだと推測され、体重218キロのオス、年齢は8歳から9歳だということです。
実はクマが駆除されたおよそ1時間半前、駆除現場からおよそ10メートル離れた道路でゆっくりと渡るクマを住民が目撃していました。
警察には午前2時ごろ、同じ月崎地区の住宅街でクマの目撃情報があり、ハンターや警察が出動しました。
18日に駆除された場所は7月12日、佐藤研樹さんが新聞配達中にクマに襲われ死亡した現場から、およそ760メートル離れた住宅街でした。
警察によりますと、現場は普段、発砲が許可されていない住宅街でしたが、警察官職務執行法を根拠に、ハンターに対して発砲を命令したということです。
福島町では7月に入り、クマの目撃や痕跡が相次いで確認されていました。
調査に入った道立総合研究機構によると、町内には少なくとも2頭のクマが出没していると発表していました。
駆除されたと聞いた住民は安堵と不安を口にします。
(近所の住民)「人を襲ったクマだったら安心なんでしょうけど。ちょっとまだ安心できませんよね」
(近所の住民)「(もう一頭も)なんとかしてほしいです」
クマが駆除されたことに対し、福島町の鳴海町長はー
(鳴海清春町長)「完全な安心ではないけれど、心にほっとしたメッセージを送ることができたのでは」
18日朝に開かれた定例町議会では、草刈りの委託料など今回のクマ被害にかかわるクマ対策費2848万円を盛り込んだ一般会計補正予算案が可決されました。
(東海林記者)「電気柵の設置が始まりました。この先およそ1.5キロにわたって、山と住宅街を隔てるように設置されるということです」
町は18日から道に借りた電気柵を設置し、クマが市街地に入ってこないよう対策を進めています。
クマが駆除されてもなお警戒態勢が続く福島町。
道総研は、男性がクマに襲われて亡くなった現場からクマの体毛を回収していて、今回駆除したクマが男性を襲った個体と同一かどうかを、DNAで解析するとしています。