ニュース

NEWS

ハッチ調べた検査官「外観検査で問題なかった」実験映像に家族は「苦しい」知床遊覧船事故・釧路地裁

北海道・知床沖の遊覧船沈没事故について、運航会社社長・桂田精一被告の2回目の裁判が始まりました。

小型船舶の検査などを行う組織の検査官が出廷し、「ハッチの外観検査で問題なく開閉検査は省略した」と話しました。

(JCI検査官)「ハッチは外観検査をした。変形やサビなどを見て違和感はなかった」

このように述べたのは、沈没事故の3日前、遊覧船「KAZUⅠ」の船体を検査した、JCI=日本小型船舶検査機構の検査官です。

業務上過失致死の罪に問われている「知床遊覧船」の社長・桂田精一被告。

桂田被告は2022年4月、業務上の注意義務を怠り、知床沖で遊覧船を沈没させ、乗客乗員26人を死亡させたとされています。

船が沈没した直接的な原因とされているのは、ハッチの不具合による浸水の拡大です。

裁判で検察側は、「KAZUⅠ」のハッチに異常はなかったことを明らかにし、不具合は“天候の影響”によるものと示すことが狙いです。

一方、弁護側からなぜハッチの開閉検査を省略したのか理由を問われた検査官は…

(JCI検査官)「異常は見られなかったのでハッチは開けませんでした」

弁護側は、見落としがなかったかなど検査のずさんさを厳しく追及しました。

裁判では、事故当日の波の高さなどをほぼ同じ条件で実施した実験映像も流れました。

証人として出廷した海上保安官は、「波を乗り上げると船首が浮き上がり、越えると船底が叩きつけられた」などと話しました。

映像を見た家族は…

(乗客家族)「すごく激しい揺れと波を見て、どんなに怖かったかなと考えてしまって胸が苦しくなりました」

(乗客家族)「高波をくらう前に早く引き返さないといけなかった、これは会社側の判断ミスです」

裁判の最大の争点は「事故を予測できたかどうか」です。

桂田被告側は「JCIの検査に合格していて事故を予見できなかった」と無罪を主張しています。

12/10(水) 19:11

ニュース