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最後の砦「夜間動物病院」命をつなぐ瞬間に密着 急患は年々増加 北海道唯一の救急治療の現場

【動画】最後の砦「夜間動物病院」命をつなぐ瞬間に密着 次々やってくる急患 北海道唯一の救急医療の現場

家族同然のペットが深夜に突然、病気やけがをしたとき、最後の砦となるのが北海道内唯一の夜間動物病院です。

小さな命をつなぐ夜間救急の最前線を取材しました。

(獣医師)「あー噛むね」

予期せぬペットの緊急事態。

(看護師)「心臓マッサージできそうですか?」

真夜中でも対応する道内唯一の動物病院があります。

(飼い主)「死んじゃう可能性もあるって見たので」

(飼い主)「急に血がじゅわーっときてて」

(飼い主)「転げまわる感じで手足をばたつかせて」

動物医療の最後の砦。

命をつなぐその瞬間に密着しました。

死に至ることも 人間用のグミを食べてしまった犬

午後8時すぎ、イヌを連れた夫婦がやってきました。

(飼い主)「人間用のグミを袋の3分の1くらい」

(飼い主)「ネットで調べたらもしかしたら亡くなっちゃうかもって出てきたので」

棚の上に置いていた人間用のグミを食べてしまったといいます。

亀山副院長が診察にあたります。

(札幌夜間動物病院 亀山健吾副院長)「通常はイヌが食べる物ではないので、中毒としてダメなのは紅茶の中に含まれているカフェイン」

グミにはカフェインの成分が含まれていて、最悪の場合、死に至ることもあるといいます。

(札幌夜間動物病院 亀山健吾副院長)「吐かせたりして出した方が安全じゃないかな」

嘔吐を促す薬を注射し、胃の中のグミを吐かせます。

無事に吐き出すことができました。

(飼い主)「おかえり、きなこ。安心しました。正直ここ来る前は大号泣していたので、めっちゃ焦って。夜間様子を見て次の日の朝っていうのは不安なので、すぐ来れるところがあるのはありがたい」

年中無休で診療「札幌夜間動物病院」

札幌市西区二十四軒にある「札幌夜間動物病院」。

2006年に有志の獣医師により設立され、現在18人の獣医師と看護師15人が勤務しています。

年中無休で、平日と土曜は午後7時から翌朝6時まで診療しています。

夜10時すぎ、1人の女性がやってきました。

(飼い主)「急に血がじゅわーっときてて。なんか痛がって歩くのが変だから」

飼っているネコの後ろ足から出血し、血が止まらなくなったといいます。

(飼い主)「肉が出ているのかなとか、ただはがれたのかなとか」

飼い主も不安が隠せません。

(獣医師)「現段階ではかかとの出血に関しては止まっているようなので」

(飼い主)「良かったねけいちゃん」

自分で足を噛んで出血したようですが、大事には至らず、飼い主も一安心です。

後日、家を尋ねてみても、ほかのネコと元気に飛び跳ねて遊んでいました。

(飼い主)「足も引きずらず、もうかさぶたも取れて、あの血だらけが嘘みたいで良かったです」

次々やってくる急患「朝まで命をつなぐ」

日付が変わっても急患のペットは後を絶ちません。

看護師は交代でつかの間の休憩をとります。

(看護師)「落ち着かないときは3時とかまで全然落ち着かないです」

亀山副院長は8年前から夜間専門で診療を続けています。

(札幌夜間動物病院 亀山健吾副院長)「来てすぐ亡くなってしまう子もいるが、なんとか朝まで命をつないで、翌日にはかかりつけの先生につなげられるようにというのは心がけています」

午前4時「チワワが急に泣き叫び…」

亀山副院長の勤務が終わった早朝4時、1本の電話が入りました。

(看護師)「チワワ5歳が急に泣き叫んで動けなくなったということで岩見沢から来ます」

その1時間後、あわただしく飼い主がやってきました。

(獣医師)「あー噛むね」

5歳になるチワワの「福」くん。

(看護師)「痛くて動けない?」

(獣医師)「神経症状ですね」

体が硬直し、自分で立つこともできない深刻な状態です。

(飼い主)「けさの3時半くらいにワンちゃんの叫び声で起きて、そのときには転げまわる感じで手足をばたつかせて呼吸も荒い状態で」

飼い主も愛犬の無事を祈ります。

(獣医師)「脳神経系の異常があって、対症療法だけして神経の発作とかを抑える薬を打っています。かかりつけ医と大学病院と状況的には(精密検査を)早くした方がいいと思う」

なんとか一命をとりとめ、かかりつけ医に引き渡されました。

急患のペットは年々増加 ウサギや小鳥まで…24時間体制で命を守る

家族同然のペットの命を救う夜間動物病院ですが、院長によると、1年半前に中央区から西区に移転してから、この病院を訪れるペットの数は年間8000件以上と年々増加傾向にあるといいます。

札幌の夜間動物病院は、MRIなどの最新機器を備えている全国有数の施設。

より多くの命を救うため、地方での動物医療などが課題となっています。

(飼い主)「夕方から動きが少なくなって」

夜間動物病院にはイヌやネコだけでなく、ウサギや小鳥まで次々と急患がやってきます。

入院施設も備えられ、24時間体制で動物たちの命を守っています。

(札幌夜間動物病院 川瀬広大院長)「北海道の中で動物の夜間診療をやっているところがここしかない。(夜間も)受け入れてくれる動物病院があると、北海道の動物を飼っている人たちが安心して暮らせる地域になるのかな」

最後の時間をともに…息を引き取った「福くん」

(飼い主)「写真がありまして」

夜間動物病院で一命をとりとめたチワワの「福くん」。

その後、脳などに炎症が見つかり、自宅で息を引き取りました。

(飼い主)「ちょっと様子がおかしくて。痙攣していて呼びかけにも応えなくなって、そのまま3時ごろ天国に行っちゃった。その晩は一緒にまた寝ることができたので」

残された最後の時間を一緒に過ごすことができたといいます。

この夜もひっきりなしにやってくる動物たち。

急にぐったりして動かなくなったネコ。

検査で異常は見つかりませんでした。

(飼い主)「ひと安心です。さっきぐったりしていたので異常がなくて良かった」

高いところから転落したチワワ。

幸い骨折などはなかったといいます。

(飼い主)「死んじゃうかと思ったけどよかった…」

動物たちの最後の砦となる救急医療。

将来的な目標はー

(札幌夜間動物病院 川瀬広大院長)「目標としては、地域医療の1つとして飼い主さんがすぐに治療が受けられるような環境に動物病院を置いていくというのができたらベストかな。死ぬまでにはやりたいなと思います」

大切な家族の命をつなぐ夜間動物病院。

真夜中でも飼い主とペットに安心を届けます。

06/22(日) 08:02

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