最低賃金1075円へ 北海道労働局に答申 物価高に年収の壁…働き手や雇用する側は複雑な思い
北海道内の最低賃金について話し合う審議会は、最低賃金を1075円とするよう、北海道労働局に答申しました。
過去最大の65円の引き上げですが、働き手や雇用する側にとっては手放しでは喜べない複雑な思いもあるようです。
皆さんの時給いくらですか?
まちの人に聞きました。
(野菜の選果 主婦(50代))「1150円ぐらいだったと思います。(上がるのは)うれしいけど、やっぱり時間を考えなくちゃいけなくなるのでちょっと困る」
(飲食店でアルバイト 札幌の専門学生(19))「最低賃金の1010円ですね。あんまりバイトできていないので、1日で稼げる金額が増えるのはうれしいです」
北海道の2024年度の最低賃金は、前の年度より50円引き上げられ、1010円。
ようやく、1000円を超えました。
2025度の最低賃金の引き上げ額の目安は、過去最大の63円。
しかし、道内の最低賃金を話し合う審議会は、引き上げ額の目標を上まわる金額を北海道労働局に答申しました。
「北海道最低賃金を65円引き上げて、時間額1075円とすることを当審議会の意見としてよろしいか、採決により決定したいと思います」
異論が出なければ、2025年10月から新たな最低賃金額が適用される見通しです。
濃厚な豚骨醤油ベースのスープと、太めのストレート麺が特徴の横浜家系ラーメン。
札幌市東区のこちらの店では現在、3人が最低賃金の時給1010円で働いています。
そのうちの1人、高校2年生の葛西拓人さんです。
最低賃金の引き上げに、期待を寄せていました。
(時給1010円 葛西拓人さん(16))「高校生は最低時給のところが多いので、時給が60円も上がるなら結構、モチベーションにもつながるしやる気が出てうれしいです」
その一方で、年収が上がると、社会保険の加入が義務付けられる106万円や、130万円の壁の対象になるかもしれません。
時給1300円で働くパート従業員の木村美優莉さんは、手放しでは喜べないと話します。
(時給1300円 木村美優莉さん(27))「私は夫の扶養に入ったまま働いているので、それを超えないように年間で計算して。(時給が)上がって手取りが増えて世帯収入が増えるので、あればうれしいんですけれども結局、抑えなきゃいけなくて世帯収入が増えないんだったらあまり意味はないのかなと思います」
この店では物価高の影響で、人気のライス食べ放題のサービスを安い外国産米に変更しました。
客離れを食い止めようと、早ければ来週から1杯1000円のラーメンを20円値下げして、980円で提供することを決めた矢先、最低賃金の引き上げに店長は…
(横浜家系ラーメン銀家東苗穂店・木村健店長)「物価も上がっていて、食材費が上がっていろんなものが上がっているので、そこに人件費が上がってくると利益はかなり圧迫されるっていうのが懸念点ですね」
物価高が続く中、労働者と経営者側の双方が安定した労働、雇用を継続できる環境づくりが求められます。