なぜこのタイミングで再稼働容認?専門家「早い段階で合意がないと…」賛否わかれる北海道
鈴木知事が原発再稼働に「容認」の考えを示しましたが、なぜこのタイミングだったのでしょうか。
北海道民からは複雑な声が聞かれました。
1番の売りだという、えび天が豪快に乗った天ぷらラーメン。
(レストラン若葉 向井昭彦社長)「原発ができて多くの視察の人がうちの大広間で弁当を食べていた。ずいぶん儲けさせてもらった。良い時代もあった」
そう昔を振り返るのは、共和町でレストランを営む向井明彦さんです。
マチが活性化し、原発は良いもの…だと思っていたのは、もう過去のことー
2011年の東日本大震災を経て、考えは変わりました。
(レストラン若葉 向井昭彦社長)「たしかに交付金は入ってくるでしょうけど、地元の命がかかっているので、安全性の問題とどっちが大事なのか」
泊発電所が停止してから13年余り。
なぜこのタイミングでの「再稼働容認」なのでしょうか。
(北海道大学 奈良林直名誉教授)「再稼働については地元自治体の長である道知事の合意が必要。早い段階でOKだと合意がないと、この後の工事のスケジュールに影響してくる」
泊原発で2024年から続いているのが、防潮堤の工事です。
津波の被害を防ぐためのもので、2027年の完成を目指しています。
7月に国の安全審査に合格した泊原発3号機。
安全対策の工事完了後、速やかに再稼働するための前提条件がいま揃いつつあるのです。
小樽市に住む小嶋智子さん。
夫と高校生から小学生までの子ども3人の5人家族です。
月の電気代はー
(小嶋智子さん)「ことしの夏は暑かったので2万円くらい。簡易的なエアコンを使っていたので高かった」
月の平均でも1万円前後と、家計に重くのしかかってきます。
(小嶋智子さん)「負担は大きい。子どもたちが3人いるので、少しでも安ければいいんですけど」
10月の北電の発表によると、原発が再稼働した場合、家庭向けの電気代は11%程度、月に1000円程度の値下げになると試算されています。
(小嶋智子さん)「安心安全な暮らしが1番だと思うので、何とも…気持ち的には複雑です。生活が少し楽になるのであればいいなとは思いますけど、半々な感じ」
安全への不安と値下げへの期待が天秤に乗せられているいま、道民全体の懸念払しょくにはまだ至っていないようです。
道議会での鈴木知事の発言です。
不安や懸念の声があるのも事実。
一方で、地元の判断を重く受け止め、料金値下げや安定供給が見込まれることなどから総合的に判断し、再稼働への容認の考えを表明しました。
今後、鈴木知事は泊原発を訪れ安全対策などを確認する予定で、再稼働に同意するか否か最終的に判断することになります。